ポルシェ、新型マカンで描く未来 「女性と若い世代に乗ってほしい」
■日本でも「女性オーナーを増やしたい」
さて、ワールドプレミアで明らかにされた、次世代へのブランド浸透やイメージ刷新を目指すポルシェの新戦略として、ここ日本でも具体的な取り組みが始まっている。 3月3日に開催される東京マラソン。その先導車両、審判長車両、計時車に、ポルシェのBEVスポーツカー「タイカン」が20台採用される。ポルシェジャパンが一般財団法人東京マラソン財団(東京・江東)と、オフィシャルパートナー契約を締結したのだ。発端は2023年に開かれた、パリ五輪の出場選手を決するマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)。ポルシェジャパンが同大会の審判長車にタイカンの貸与を申し出て、以来、財団と粘り強い交渉を続けた結果、今回の契約に結びついた。 なぜ東京マラソンなのか。スポーツ、サステナビリティー、多様性の象徴ともいえる同大会をポルシェの電気自動車がサポートすることが、未来を見据えたポルシェのブランドイメージアップに大いに貢献すると考えたからだ。
■大谷翔平、再びアンバサダーに 「共通項多い」
一方、若い世代への影響力を鑑みて、2022年8月から1年間アンバサダーに就任してもらった米メジャーリーグの大谷翔平選手とこのほど再契約を結び、大谷選手は2025年までアンバサダーを務めることが決まった。 ポルシェジャパン社長のフィリップ・フォン・ヴィッツェンドルフさんは「大谷選手とポルシェには多くの共通項がある。パフォーマンスを大事にする。ベストになりたい。そして夢をかなえること。ポルシェの創業者であるフェリー・ポルシェは夢への強烈な信念をもっていました」 「これからは女性オーナーをもっと増やしたい」。そう語るフォン・ヴィッツェンドルフさんは今、販売店の改革を鋭意検討中だ。日本は世界で最もポルシェの女性オーナー比率が低い国で、販売店のスタッフの女性比率もわずか1~2%だ。「もはやスーツ姿の男性スタッフだけが接客する時代ではありません。親しみやすい雰囲気も大事だし、シンガポールの『ポルシェスタジオ』のようにブランド体験ができる直営店の開設も考えたいですね」。年内にも日本で新型マカンを発売する好機とあって、女性に照準を合わせたイベント開催なども見据える。 「憧れのスポーツカー」であり続けながら、ブランド・アクセシビリティーも高い最先端のビッグネームに。そんなイメージの確立に向けて疾走するポルシェの新戦略は、自動車業界にどんな波紋を広げるだろうか。 文:THE NIKKEI MAGAZINE 編集長 松本和佳 ※この記事は「THE NIKKEI MAGAZINE」の記事を再構成して配信しています。