50年に一度の流行!「梅毒」は昔の病気じゃない…今気をつけたいこと
■赤ちゃんに影響も…
近年深刻なのが「先天梅毒」です。梅毒に感染した母親から胎児に感染するもので、流産や死産のほか、赤ちゃんの骨や神経の異常、目の角膜炎や難聴などの可能性もあり、将来発達に問題が生じることもあります。 先天梅毒の赤ちゃんの数は、2023年は2022年の2倍近くになる見込みで、過去最多を更新。先天梅毒は梅毒から遅れて流行する傾向があり、今後も注意が必要です。妊婦健診で梅毒も調べますが、そこで梅毒と診断され、治療しても先天梅毒を防げないことがあります。また、妊娠初期に陰性でも、その後、たとえばパートナーが梅毒に感染し、性行為をすれば女性が妊娠中に感染する可能性もあるため、注意が必要です。
■2024年の見通し
大流行中の梅毒。2024年以降の見通しは。 川名教授 「ごく最近のデータでは、大都市部では少し減り始めています。一方、地方都市では感染が増え、人流とともに梅毒も移動し始めている可能性があります」「だんだん全国区になってきているところはありますので、まだまだ予断を許さない」 一方、梅毒は感染に気がつかない人や、気づいても検査や受診をしない人も多く、「隠れた感染者」が多いと指摘します。「実際の感染者は、もっと多いわけです。そこを駆逐しないと流行は収まらないというのが重要な点。流行の収束は、それほど甘くはない、ひそかに続く可能性があると認識しておいた方がいい」
東京都は新宿や立川に無料検査場を設けていて、完全匿名で検査を受けることができます。担当者によると、新宿だけでも一日40人ほどが検査に訪れ、最近では、不特定多数と性交渉する人ではなく、特定のパートナーしかいないという人でも梅毒に感染する例が増えているといいます。 社会に多くの感染者がいる状況では、自分が行動に気をつけていても、パートナーがほかで感染すれば、自分も知らずに感染する可能性があるということです。自分や大切な人を守るためにも、自覚を持った行動が求められています。