50年に一度の流行!「梅毒」は昔の病気じゃない…今気をつけたいこと
すぐに性病検査を受けたゆかりさん。梅毒は陰性でした。「お医者さんに、すぐだと(陽性が)出ないこともあるから、また来てと言われ、2か月後に再検査したら陽性で。感染がわかるまでに時差があるのも…」 薬で治療し、今症状などはなく、定期的な通院で状況を確認しているといいます。 「梅毒って、すごく怖いイメージがあって、まさか自分がとショックだった。でも性行為があれば、相手がいるわけで、その人の普段の行動まではわからない」「誰でもうつる可能性があるんだと身をもって知った。自分は“無関係だ”とは思わないでほしい」
■今は流行期 SNSの出会いにも要注意
日本大学医学部の川名敬主任教授は、今は40~50年に一度の梅毒の流行期だと話します。 「一定の頻度で必ず流行は起こりますが、人間の持っている免疫の力が衰えるのと、今、医療従事者も梅毒という病気を診たことがない世代になり、診断が遅れることもあります。現在の流行は、そういった社会的背景も影響していると考えられます」 急増の背景にはSNSもあると指摘します。 「梅毒に限らず、2010年くらいから性感染症が増えている。時間や空間を超えて、いろいろな方が知り合い、性行為に及ぶことが頻繁になってきた。そういうことにSNSが拍車をかけているんじゃないかと思っています」 SNSやマッチングアプリの利用が増え、不特定多数の相手と出会い、性行為に及ぶハードルが以前より下がっている可能性があると指摘。 「梅毒は感染力が強い。予防するワクチンなどはないため、必ずコンドームなどで感染を予防すると同時に、早く見つけて早く治療し、広げてしまう可能性を断ち切るというのが重要」
■梅毒に感染したら?
臨床の現場でも、梅毒患者の増加は顕著です。新宿レディースクリニック院長の崎山ゆかり医師に聞きました。 「このクリニックでも1か月に10人前後が梅毒と診断され、治療している状況が、ここ数年続いています」 「一番多いのは風俗など、お仕事がきっかけの方ですが、不特定の複数人と関係を持ち、感染経路がわからない人も珍しくありません」 崎山医師は、梅毒は「忍者のように消えたり化けたりする」といい、慣れている医師でも見抜くのが難しい場合もあるため、心配なことがあれば何でも伝えてほしいと話します。「言いづらいことはスマホのメモ機能でもいいし、伝えてほしい。空振りでもいい。恥ずかしいとか、怒られるかもと心配される方がいますが、そんなことはない。他の感染症と同じように対応しているので、ぜひ不安の種を放っておかずに相談してほしいです」 自身の症状や治療と冷静に向き合うことが大切だと言います。 「性行為というのは、どんな方法をもってしても、性感染症とは切り離せない。その可能性をわかった上で、もし感染したら、しっかり治療することが重要。診察に来ただけで安心して、途中で薬を飲むのをやめたり、再検査に来なかったりの方もいますが、自分の幸せな人生のためにも冷静に向き合ってほしい」