「母親なのに、ひきこもりやがって」優しかったはずの夫がなぜ…48歳主婦に訪れた悲劇と不登校になった子どもが気づかせてくれた“本当の自分”
話を聞いてくれない夫に絶望してひきこもる
3回目の入院でも拘束され、感情統合失調症と診断される。入院中は親戚の女性と夫の母が家事をしてくれ、夫は息子たちと一緒に寝て、母親がいない不安をやわらげてくれた。退院後は双方の母親がひんぱんに来てくれたが、それもストレスが溜まる要因に――。 「薬を飲むとぼんやりするし、頭痛いし、だるいし、調子悪くて寝ているのに、主人のお母さんが『生ものが届いたから、今から行くわ』と持って来てくれて、ちょっと今はしんどいかなみたいなことが結構あって。ありがたいから、ちゃんともてなしたいのに、来られたら困ると思うことも、やっぱり申し訳ないと罪悪感を持っちゃうし。 うちの母は自分があげたいものを持ってくるから、私が欲しいものを頼むと、それは……みたいな顔をされるので、じゃあやめとくか、みたいになっちゃうし。まあ、それは昔からですけどね」 野中さんは子どもたちにはちゃんとご飯を食べさせたいと頑張って作り、あとは疲れて横になって過ごすことが多かった。 大変だったのは息子の幼稚園への送迎だ。あいさつもしたくないので、マスクやサングラス、眼鏡をかけて顔を隠して、声をかけられないようにした。幼稚園の帰りに「公園に寄りたい」と言われても、「お母さん、頭痛いから無理」と言って真っすぐ帰宅。息子は1人でテレビを観ていることが多かったという。 「どこも行けなくて、ごめんね」 謝ってばかりいると、あるとき息子がこう言ってくれた。 「お母さん、謝んなくていいよ。悪いこと、してないじゃん」 こうした家族以外とはほとんど話さない、ひきこもり状態は2年くらい続いた。前回に比べて、長く続いたのには理由がある。 「夫は『休んでいいよ』とやさしく言ってくれる人だったから、私のことをわかってくれていると思っていたんです。それなのに、病院に入れられて……。両親だけでなく、この人も私の話を聞いてくれるわけじゃないんだ。信じていたのに、結局、私のことをわかってくれないのかと、生きる気力がなくなったんだと思います。 でも、子どもを残しては死ねない。だから夫への不信感はあっても、子どものために家族でいることを選んだんです」
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