探究へ多角的な視点得る 鹿児島県奄美市で東大大気海洋研シンポ
東京大学大気海洋研究所(千葉県柏市)主催のシンポジウム「奄美を探る:産学官民連携の実際」の2日目は16日、鹿児島県奄美市名瀬のアマホームPLAZAであった。奄美群島3高校の生徒が探究成果をまとめたポスターセッションや国や大学の専門家による普及講演会を実施。ポスターセッションには大学教授や研究者らが訪れ助言し、発表者は自身の探究活動へ多角的な視点を得ていた。 シンポジウムは5部構成で、1日目は4部までを実施。2日目の午前中は「〝協働〟研究の展開」をテーマに自然や教育などの分野の大学教授や研究者、高校の管理職が登壇した。 午後のポスターセッションでは、奄美市名瀬の大島高校、瀬戸内町の古仁屋高校、与論町の与論高校の生徒が八つのブースで探究成果を見学者に伝えた。 与論高校2年の若杉大翔さん(17)は「与論の農業用水について」まとめた成果を発表。与論の土壌を適正なpH(水素イオン濃度指数)にするために用いられる苦土石灰の代わりに石灰水である与論の水を使用できないかと考え研究。見学者の大学教授や専門家からフィードバックを受け「さらに研究をアップデートしたい」と意欲を見せた。 普及講演会は環境省や東大の教授らが「自然科学と社会科学の奄美群島」の演題に沿って、それぞれの専門分野から知見を述べ、高校生も多数聴講した。同大大学院情報学環の矢口祐人教授は「島と文化」の研究について語り、米ハワイ州の自然や文化を紹介。「島はさまざまな人や動植物、文化が混ざるところ。奄美も日本や世界を考えたときに大切な要素が層として入っている。島の文化の豊かさを大事にしてほしい」と呼び掛けた。