新型コナNラインは、ヒョンデが考えるスポーティSUVだった 日本初上陸の1台に迫る
やさしい乗り味は不変
いざ走り出してみると、ノーマルで感じたやさしい味わいは変わらなかった。 乗り心地はしなやかで、モーターの加速力も充分以上。「SPORT」モードに切り替えるとアクセル操作に対する反応が鋭くなり、俄然、運転が楽しくなる。さらにパドルを操作して回生ブレーキの減速力を強くすると、いわゆるワンペダルドライブが可能になり、BEVならではのファン・トゥ・ドライブを満喫できる。 エンジン音のないBEVにありがちな、タイヤのロードノイズやボディの風切り音が気になるということもなく、標準装備されるBOSEのプレミアムサンドシステムが鳴らすイイ音を聴きながら、気持ちよく走る。 トヨタの「ヤリスクロス」よりちょっと大きくて、「カローラクロス」より少し小さいというサイズ感も絶妙で、撮影のためにこみいった路地にクルマを入れても小回りが利いて扱いやすい。 リヤスポイラーもアルカンターラの内装も素敵ではあるけれど、結局のところ、ベースとなるコナがよくできていることに感心させられる。そのコナにスポーティなルックスのNラインというグレードが加わり、選択肢が増えたということは、朗報以外の何物でもないだろう。 ヒョンデが日本に再上陸してから2年半だから、なかなかブランドの全貌が把握できない。けれども、コナNエアインからは懐の広さと深さが伝わってくるし、ヒョンデがトヨタ、フォルクスワーゲンに続く世界第3位の自動車メーカーである理由がわかるような気もした。
文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)