車両不足のロシア軍、鹵獲したオランダ製APCも活用 屋外保管の歩兵車両4割減
装甲車両の屋外保管施設にも空きが目立ってきた
戦争が長期化するにつれて、ロシア軍の歩兵戦闘車や装甲兵員輸送車の不足はますます深刻になってきている。ロシア軍はこれまでに、歩兵戦闘車や装甲兵員輸送車、その類いに6500両を超える損害(撃破や損傷、遺棄、鹵獲)を出している。 損失分の補いや新たな部隊への配備分として、ロシアの産業界はこうした歩兵用車両を2000~3000両ほど新造した可能性があるほか、最大7000両を屋外の長期保管施設から引き出した。 だが、そうした保管施設もここへきて空きが目立ってきている。OSINT(オープンソース・インテリジェンス)アナリストらの衛星画像分析によると、2024年半ば時点で、BTR-60/70/80装輪装甲兵員輸送車の在庫は2021年時点と比べ3割減り、BMP装軌歩兵戦闘車の在庫は4割近く減った。MT-LB装軌装甲牽引車にいたってはわずか15%しか残っていない。歩兵用車両全体では44%減少している。 ロシアにとってさらに悪いことに、保管施設にまだ残っている車両の多くは、数十年にわたって屋外で雨や雪にさらされてきたため錆びついていて、もはやスクラップとして以外、使い道がない。 こうした面倒な足し引きの結果として、ロシア軍では装甲車両が枯渇してきている。そのため、各連隊や旅団は中国製の全地形対応車(ATV)、俗称「ゴルフカート」や、中国製やベラルーシ製のオートバイで代用することが多くなっていて、こうした無防備な車両の損害もまたかさんできている。 ドネツク州で破壊されたYPR-765から察すると、ロシア軍は戦場でウクライナ軍から鹵獲した車両も不足を補う一助にしているようだ。
David Axe