<私の恩人>ウーマンラッシュアワー・村本 人に感謝しない僕が“キム兄”に感謝する理由
『THE MANZAI』で優勝する1ヵ月前の、昨年11月。新宿の劇場『ルミネtheよしもと』の出番だったんですけど、舞台を終えてエレベーターに乗ったんです。1階までエレベーターで降りてドアが開いた瞬間、たまたま、同じタイミングで横のエレベーターも開いた。そこから出てきたのが木村祐一さんやったんです。それまで、劇場とかでお会いした時に「おはようございます」とごあいさつするくらいの接点しかなくて、ちゃんとしゃべったことなんて1回もなかった。なのに、なぜか木村さんが「メシ食った?」と声をかけてきてくださったんです。あまりにも意外な流れやったんで「…エッ!?」と思って驚いたんですけど、こんなチャンスはないと思って、ご一緒させてもらったんです。 その場にいるのは木村さんと僕と2人だけ。ご飯食べて、バーに行って。ただ、本当にこんな機会が滅多にないので、ここぞとばかりに『THE MANZAI』への思いとか、自分が持っているエピソードトークとか、ありとあらゆるお話をさせてもらったんです。そして、その流れでご自宅にもお邪魔させてもらいました。 家に着いたら、ほどなくして木村さんが「もう、とっとと帰れ!!」と言われまして。僕はそういうノリやと思って「いやいや、ちょっと待ってくださいよ~!!」という感じで30分ほど返してたんですけど、木村さんがトイレでいなくなった時、奥さんがこっちに来られたんです。そして「本当に、ありがとうございました」とおっしゃったんです。…どうやら、本気で僕に帰ってほしかったみたいでして(苦笑)。「明日食べるおにぎりも作りましたんで。あと、タクシーはそこの角を曲がれば走ってますんで…」とお引き取り願うための手土産もいただきまして、そこまでして、ホンマに帰ってほしかったんやと(笑)。今から思うと、うっとうしくなるくらい、僕が一方的にしゃべってたんやと思います。 これは完全に嫌われたなと思ったんですけど、その1ヵ月後、『THE MANZAI』で優勝したら、木村さんからすぐに電話をいただいたんです。「今日空いてるか?」と。そこで、ご祝儀をいただいて、いろいろとお話をしていただいたんですけど、やっぱりね、普段はこちらが“どうとでもできる名もなき後輩芸人”としか一緒にいない僕なんで、話しちゃうんですよね。その時点で『人志松本のすべらない話』への出演のお話もいただいていたこともあり、こんな全国区の方にお話ができる機会も滅多にないと思って、またまた、ありとあらゆる話をぶつけたんです。そしたら、木村さんがおっしゃったんです。「『すべらない話』で、名前の書いたサイコロを振った時に、誰かフリーで指名してしゃべる人を当てる★マークがあるやろ。★が出てるのに、若いヤツで、自ら手を挙げて『俺がしゃべります!!』と言わんヤツおる。あそこはチャンスなんやから、手を挙げへんようなヤツは売れへん」と。