家を借りられない「高齢者の住まい」迫りくる危機にどう対処する?孤独死で「事故物件化」ほかにもトラブル続出
死後2週間ほど経っていた。残置物は処理業者に依頼して処分。 しかし、腐敗臭は残ったため、賃貸物件として貸すことが不可能に。他の部屋の入居者も徐々に退去。その後、家主の希望もあって募集はせず、建物は解体して更地に。 もともと家主は貸さないと言っていたにもかかわらず、死亡した高齢女性がどうしても借りたいと申し出て貸した経緯があったため、家主は今後中高年の単身者には貸さない方針を明確にした。 ■事前に知っていたら借りなかった
病死も、新しい入居者から「前もって知っていたら借りなかったのに」というクレームが来ないよう、家主側は告知しています。しかし、告知したらしたで、次の入居者を確保できなかったり、賃料を下げざるを得なかったりして、資産価値低下につながっています。 結局のところ、入居者が孤独死すると家主側の負担が非常に大きくなります。そのため、入居者確保が少々困難になったとしても、事故物件化を防ぐために高齢者に貸すのを避けるしか方法がないのです。
しかし、このような現状は家主にとっても、賃貸を借りたい高齢者にとっても不幸な事態です。 人は生きている限り、どこかに住まなければなりませんし、生きている人は誰しも必ずいつか死を迎えます。 人が亡くなった場所をすべて事故物件化していたら、この日本に高齢者の住む場所はどこにもなくなってしまいます。高齢者の増加によって死亡者数が増え、人口が減少していく「多死社会」もすぐそこまで来ています。今後は『死』に対する認識を、日本人は変えていく必要があると私は考えています。
2018年に行われた調査でも、家主や不動産会社の大半が「できたら高齢者に貸したくない」と思っているという結果が出ています。そこには、賃貸借契約の相続や孤独死に絡む問題以外にも、さまざまなトラブルがあることがうかがえます。 ・ 高齢者の認知症が進み、実質面倒をみなければならない ・ 家族が対応しない。言ってもしてくれない ・ 共有部分で失禁・ 糞尿をする(制御できない) ・ 電球を替えられない、テレビが映らない(単なるコンセント抜け)、エアコ