家を借りられない「高齢者の住まい」迫りくる危機にどう対処する?孤独死で「事故物件化」ほかにもトラブル続出
ンのリモコンが反応しない(単なる電池切れ)などの理由で呼び出される ・ 耳が遠く、大きな音でテレビを視聴するため、他の入居者とトラブルになる ・ 室内を片づけられず、汚部屋になる ・ 隣人に金の無心をしたり、被害妄想で近隣や警察に迷惑をかけたりする ・ ボヤ程度だが、火事を起こした ・ 生活スタイルの違いから、隣人と生活音トラブルになる 一昔前までは家族や親戚が対応していたことを、民間の家主や不動産会社が対応しなければならない状況が起こっているのです。彼らができるだけ高齢者に貸したくないと思うのも、仕方のないことだと思ってしまいませんか。
■本来なら優良顧客の高齢者 本来なら家主側にとって、高齢者の賃借人はいったん入居すると若い人ほど引っ越しすることが少なく、結果として長期入居してくれる「優良顧客」です。 しかし、老化が進むとさまざまなトラブルを引き起こす可能性もありますから、入居審査の判断は簡単ではありません。 若い人もトラブルを起こすことはありますが、家主側の負担が大きい高齢者によるトラブルのほうが数が多いといえます。ところが、トラブルの相手が高齢者の場合、法律だけで事務的に解決できないことも多々あります。
たとえば、賃借人が家賃を滞納して、話し合いでは解決できなかったとしましょう。そのときは訴訟手続きで明け渡しの判決をもらい、強制執行という手続きで滞納した賃借人を強制的に退去させることができます。 ただ、高齢者の場合はスムーズに退去させられないこともあります。 執行官が「この高齢者をここから追い出した場合、その後生きていけるのか?」とためらってしまうと、判決は出ていても執行してくれない場合があるからです。
こうなると家主は大変です。家賃を払ってもらえないから仕方なく訴訟を起こし、判決をもらって強制執行を申し立てたのに退去させられない。八方塞がりになってしまいます。 私が出会った明け渡し訴訟の相手方の高齢者は、タイミングを逸して転居できなかった人たちが非常に多いです。 60代でまだ仕事をしていれば、家賃保証会社の加入だけで部屋は借りられます。ところが70歳を超えてしまうと、高齢者に部屋を貸したくない家主側は、滞納の心配というより亡くなった後の手続きをしてくれる身内の連帯保証人を条件とします。身内はいるでしょうが、頼れる関係ではないのでしょう。