母の介護、脳動脈瘤手術…40代~50代のハードな日々を乗り越えた今【戸田恵子さんインタビュー】
でも、「更年期の症状がそんなに重くなかったのは、その忙しさのおかげだったのかな」と、戸田さん。 「私が20代、30代の頃、先輩の俳優さんが真冬でもノースリーブで汗をかいているのを見て、暑がりなんだなと思っていたけど、あれ、更年期だったんですね。私自身は鈍感な体なのか、そういうことがまったくなくて。 もしかしたらイライラすることとかあったのかもしれませんけど、毎日が忙しくて、母のこともあったし、イライラしているのが普通だったから、気がつかなかったのかもしれない。 生理が止まるというか、だんだん不安定になったりとか、そんなことはあったけど、現象としては特に何もなかったですね。気の張りで乗り越えてしまったのかもしれません」 とはいえ「倒れたら周りに迷惑をかけるから」と、人間ドックは年に1回、受けていた。50代後半のあるとき、ついでに受けたのが、脳ドック。そこでなんと、脳動脈瘤が見つかった。 「私自身は頭痛があったわけでも、なにか不調を感じていたわけでもなかったのに。たまたま脳ドックを受けただけなのにそう言われて、びっくりしました。 未破裂性脳動脈瘤といって、脳の血管に小さなコブがあるというんです。それが破裂すると、くも膜下出血になるという。破裂しないような形のものなら、そのまま定期的に検査していればいいらしいんですけど、私のはたまたま、形がよくなかった。 『破裂する可能性が大です、手術を受けたほうがいいです』と医者に言われました」 そのままにしている人もいる。けれど、破裂する可能性もある。そう言われて戸田さん、当然のことながら混乱し、そして悩んだ。 「もう、しょうがないですよね。アメリカの女優さんで、乳がんになる可能性が大きいからって、発病する前に切除手術した人がいましたよね。それと同じ。だって、バーンと血圧が上がったりすると、血液が一気に流れて、コブに当たって、薄くなっている血管の壁が破れるかもしれない。そんなこと言われたら、怒る芝居がもうできないじゃないですか。そこから先は勇気です」 入院して開頭手術を受け、クリップで破裂を防ぎ、今はそんな心配もなくなった。 「ですから脅かすわけじゃないけど、脳ドックは受けたほうがいいです。コブがあっても、形によってはそのままにしている人もけっこういるみたいですし」