ジュビロ磐田の名波浩は、なぜ中村俊輔を欲しかったのか?
怪我だけでなく、業務提携を結んでいるイギリスのシティ・フットボール・グループ(CFG)の意向で進められていく世代交代のあおりを受ける形で、昨シーズンの中村は19試合、時間にして1,552分間のプレーに終わった。 ピッチ外でも影響力を強めるCFGのもとでチーム改革が進められていく状況に、キャプテンとして何度もフロントとの直談判に臨んだ。それでも改善されなかった歯がゆさに、「お金じゃない。最後はサッカーだけに向き合い、燃え尽きたい」と偽らざる心情を吐露したこともある。 最終的には年俸1億2000万円を提示した愛着深いマリノスよりも、8000万円のジュビロを新天地に選んだ。日本代表でともに戦ったこともあるレフティーのいま現在に対して、名波監督はこう目を細める。 「俊輔自身も溶け込もうと必死だったと思うけど、いじり、いじられるなかで非常に楽しそうにやっている。ストレスという意味では、単純に一人のサッカー選手として自分のパフォーマンスの好不調やコンディションだけに向き合えばいい環境に身を置いているので。アイツが楽しそうにプレーしているところを見れば、またウチの試合を見たいと思うファンも増えるんじゃないかな」 今シーズンの最低限の目標は、得点37、失点50とマイナス13を数えた得失点差をゼロにしながら、中位以上を目指すこと。スルーパスやセットプレーからのゴール増を至上命題に掲げて、中村を中心とする新生ジュビロは25日のセレッソ大阪との開幕戦(ヤンマースタジアム長居)へ向けて最後の調整に入る。 (文責・藤江直人/スポーツライター)