区長落選の元区議、就職先を探し40社以上応募「8年間のキャリアは透明な感じが」 政界挑戦の“落選リスク”を考える
ただ、南雲氏も落選後に声はかかったそうだ。「それはあったが、もう少しチャレンジしたかった。やはり落選後は政治家の秘書になるとか、他の選挙に出ないかという話をいただいたりする。それよりも、ロールモデルを作っておきたいという思いがある」と明かした。 では、政治家と他業種を行き来しやすい“リボルビング(回転)ドア”は必要だと思うか。「官民共創をする時、民間だけやってきた人は、例えば区役所の中の誰に話しかければいいのか、どこを押したら動くのかはわからないと思うが、私は“ここの係長さんを押せば事業が動く”とわかる。官民共創の枠組みが広がっている中で、活躍の場はあるのではないか」との見方を示した。
■「無投票だと何もできない。むしろ落ちる人が多いほうがいい」
政治家と立候補者のキャリア支援・人材紹介を行う会社「PublicBeyond」。共同代表の遠藤結万氏は、政治経験が「キャリア」としてカウントされず十分に評価されない、政治に挑戦しやすく辞めやすい社会が必要との思いから、9月に立ち上げた。 「政治に近いところにいて、落選して苦労する方をたくさん見てきた。東大や早慶を出て、会社でもある程度年収があるような経歴の方でも、立候補した瞬間に仕事が見つからず困っているケースは多い。『新陳代謝』とみんな言うが、代謝“される側”にも人生があるわけだ。良いキャリアを全部投げ捨てるのに、4年に1回給料がゼロになって借金を背負う可能性もある。それで政治家になってくれというのは、一市民として言いづらい」
一方、笠井アナは「政治参画のハードルは必要だと思う」と自身の考えを述べる。「極端な話、この前の都知事選でポスター集金システムを作ったNHK党の立候補者の顔ぶれを見ると、入り口のハードルはあったほうがいいと思う。政治はもう少し覚悟が必要で、“俺ちょっと選挙行ってくる”“ごめん、落ちちゃって戻ってきた”みたいな話ではダメではないか」。 これに遠藤氏は「一般的な感性を持っている会社員などの方が立候補しようとした時に、ものすごくハードルが高くなってしまう状況は違うのではないか。ただ、それ以外の方法でお金を稼ごうとしている人にとってはハードルが低くなっている、これは歪みだと思う」と、制度の問題を指摘した。