落日のレッドブル…ニューウェイだけでなく次々と上級スタッフが離脱 再起は厳しいか
レッドブルがコンストラクターズタイトル争いの3位に転落する恐れが出てきた。第17戦アゼルバイジャンGPでマクラーレンに首位を奪われ、エースのマックス・フェルスタッペン(オランダ)も第11戦オーストリアGPから前戦シンガポールGPまで8連敗。気が付けば、マクラーレンに41点差で引き離され、コンストラクターズ3位のフェラーリとは34点差に詰められた。 【動画】ピアストリが1コーナーで攻めた!鮮烈なオーバーテイクでルクレールを捉えたシーン フェルタッペンは第10戦スペインGPを終えた時点で7勝を挙げていたが、それ以降は2位が最高。チームメートのセルジオ・ペレス(メキシコ)も第5戦中国GPの3位を最後に表彰台に立っておらず、夏休み期間中の更迭のうわさもまことしやかにささやかれた。 レッドブルが急に失速した大きな要因として技術部門の要であったエイドリアン・ニューウェイ氏が5月にチームを離脱することを発表したことが大きい。移籍先としてフェラーリ、ウィリアムズなどがメディアで浮上していたが、最終的に選んだのは2026年からホンダとコンビを組むアストンマーティンだった。 チームのルーツをさかのぼれば、1991年にF1に初参戦したジョーダンGPで身売りする前は無限、ホンダ、トヨタの日本メーカーのエンジンを積み、鈴木亜久里、佐藤琢磨の表彰台経験者も所属した。黄色のマシンをイメージするファンも多いだろう。 F1では、競合する他チームへ移籍する際に最新の技術が流出しないようガーデニング休暇と呼ばれる休養期間が設けられ、半年や1年といった長期にわたって新しいチームで稼働できないという紳士協定が存在する。ニューウェイ氏がマネージングテクニカルパートナーの肩書でアストンマーティン入りするのは来年3月1日。それまでは古巣を含めてF1の業務に携わることはない。 レッドブルではチーフテクニカルオフィサー、いわゆる最高技術責任者としてチームの技術部門を束ね、差配をしてきた。F1関係者によると、キーマンがいなくなったことで開発スピードも遅れ、上級スタッフも次々とチームを離脱している。 最近ではレース戦略責任者だったウィル・コートニー氏がチームを辞め、マクラーレンのスポーティングディレクターに内定したと報じられている。レッドブルの前身チームだったジャガー時代から所属する古株だったが、こちらもガーデニング休暇を経て新天地に移る見通しだ。 F1関係者も「ニューウェイのほかにスポーティングディレクターだったジョナサン・ウィートリーもチームを去り、アウディF1の代表に就任する見通し。この5か月で3人の上級スタッフが退職した。今後のかじ取りが大変」と指摘。 レッドブルはフォードと提携して自社パワーユニットを開発して2026年シーズンに臨まなければならない。車体開発との連動がうまくできるか心配なところだ。ホンダとは来季もパートナーシップは継続するが、飛ぶ鳥を落とす勢いだったチームは羽をもがれた状態になりつつある。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]