CEOに聞く 企業を編集する 作家エージェントの新たな挑戦―― 株式会社コルク
企業を編集する――。 「ドラゴン桜」、「宇宙兄弟」など数多くのヒット作を手がけたヒットメーカーの佐渡島庸平さんが、出版社から独立し、昨年10月に作家エージェント『コルク』を立ち上げました。あれから1年。当初、編集者として作家をバックアップするために起業した佐渡島さんですが、現在では、その業務の幅も広がりをみせ、作家、マンガ家の作品を編集する仕事から、“企業を編集”する仕事までこなしているそうです。その佐渡島さんに現在の仕事や“企業を編集する”“、ということについて聞いてみました。 [写真]「宇宙兄弟」をはじめ“教養”としての読むべきマンガ ――出版社としての編集者と現在と違う点はありますか? 「出版社のころは、編集者は雑誌と作家のための仕事だと考えていました。実際、これまではそういう仕事をすることが多かった。でも、起業して今は、企業のために働く機会も出てきた。これは当初、考えてなかったことですね。マンガ家、作家のために働いていたら、企業とのコラボ、という新しい枠組みになってきた。マンガ家と企業とのコラボはやりがいがありますね」 ――企業のために働くということとは? 「一般的には編集者は、作家のための編集者だったんですが、企業の編集者にもなれる。具体的には、企業のHPなどのオウンド・メディアをサポートするなど、企業が発信していく情報を編集者がサポートしていくことができる、とわかったんです。たとえば、製品には必ず、ストーリーがある。企業が何か情報発信しようとすると、PR色が強すぎたり、逆に無難過ぎたりすることもある。でも、いい製品にはいいストーリーがあるし、それを情報として発信すれば、受け取る側にもメリットがある。企業の努力はおもしろいニュースがあると感じています」 ――具体的にはどういうことですか? 「実際に携わっている業務としては、例えば、抗体医薬の研究開発に取り組む協和発酵キリンさんと漫画家・こしのりょうさんがコラボしているWEB漫画『新抗体物語』。これは、“抗体”を分かりやすく説明しているし、そのものにストーリーがある。これが、企業からの依頼の企画でなかったとしても、作品を作るために取材させてもらっていたかもしれない。免疫については文筆家・多田富雄がベストセラー「免疫の意味論」を出しているくらいだし、それだけテーマも魅力的だと思う。それくらい企業の持っている情報には価値のあるものが多いと思う」