ラグビーW杯8強遺産は次世代ジャパンへ継承されるのか?
リーチに代わりうる主将候補には、この大会でもゲーム主将を務めたフランカーのピーター・ラブスカフニ、25歳のナンバーエイトの姫野和樹らが挙げられる。特に姫野は所属のトヨタ自動車で新人時代から主将を任され、今年の代表候補合宿でもリーチと走り込みで張り合ったり、トレーニングの合間にリーチと努めて立ち話をするなど、船頭役のエッセンスをどん欲に吸収していた。 現チームはリーダーシップグループを結成していて、リーチ、ラブスカフニ、姫野に加えて現在29歳で左プロップの稲垣啓太、ウイングとして大会5トライをマークの松島幸太朗らが参加している。今回の成功体験をフランスで活かしてくれそうだ。 次回大会で軸となりそうな選手には他に、25歳で右プロップの具智元、26歳でロックのジェームズ・ムーアらがいる。 W杯に出られなかった楽しみな次世代組も控えている。早大4年のスクラムハーフの齋藤直人は下部のJAPAN Aなどで高く評価され、大会直前に怪我で代表候補から落選した身長2メートル超でロックのグラント・ハッティング、2016年春に日本代表デビューを果たしたテビタ・タタフ、ファウルア・マキシといった学生時代を日本で過ごしたトンガ人ナンバーエイトは、現代表との競争を激化させそうだ。サンウルブズの外国人勢では、今回は国内連続居住期間が足らず選外となったセンターのマイケル・リトル、フランカーのベン・ガンターが好守で光る。 34歳でスクラムハーフの田中史朗は、会見で涙を流し、「僕やトモみたいなおっさんはもしかしたら(翌年以降は)厳しいかもしれないですけど、日本にはもっと期待できる人材がいっぱいいる」と、次世代へのエールを送った。 8強進出を果たした日本代表は、今大会に大きな遺産を作った。だが、4年後に、この遺産を生かし、さらにレベルアップさせるための組織、若い才能が伸びていく環境を日本ラグビー界は作り出していかねばならない。「4強の壁」を超えていけるかどうかの期待感は、今後の日本ラグビー界のあり方次第で、高くも低くもなりそうだ。 (文責・向風見也/ラグビーライター)