ラグビーW杯8強遺産は次世代ジャパンへ継承されるのか?
これでチームは解散。来年以降は、すでに出場を決めている2023年のW杯フランス大会を見据える。4年後は、自国開催大会にあった重圧もないが、裏を返せばホームの後押しもない。今回のように、週に1度のペースで優遇されて予選の試合が組まれることは稀かもしれず、中3、4日でも白星を重ねられるだけの選手層や資質も求められることになる。 従来通りなら、大会2年前にある予選の組分け抽選会では、その段階での世界ランクで同格のチームが異なるグループに散る。日本代表は、今回の躍進で現在世界ランキング8位だが、2021年までに、その位置もしくはそれよりもやや上を保てなければ、本番では格上と、2回ぶつからねばならなくなる。藤井強化委員長は次回へ「もっと上」と目標を掲げたが、2大会連続の8強入りにも高いハードルがあると見てよい。 再始動に先駆け、ナショナルチームを統括する日本ラグビー協会(日本協会)は次期体制について議論。会内の「強化委員会、技術委員会のスタッフ、それ以外の理事」などによる「9名」の選考委員会を動かす。 藤井ら強化委員会のリポートをもとに「複数名」の候補から新たな代表指揮官を選ぶ。今大会でノルマ達成のジョセフ・ヘッドコーチの続投に対しての異論は少ないが、そもそもジョセフ・ヘッドコーチ自身が、そのラブコールを受けるかは不明だ。岩渕健輔専務理事も慎重だった。 「(今後の指揮官候補の)複数名のリストには順番がついています。その順番についてどう考えるかを、速やかに選考委員会で決めます。決め方、決めるプロセスが大事です。強化委員会のリストをもとに技術委員会が客観的に評価をして、選考委員会が決める。(決定時期は)なるべく速やかに。(指揮官との契約にあたって他国協会とのマネーゲームが起きた場合は)皆さんのサポートをお借りして、できるだけいい形にしたいです」 現体制の継続が実現したとしても、そこに支援体制が整うかどうか。 ジョセフ・ヘッドコーチの右腕だったブラウン・アタックコーチは、来季から母国ニュージーランドのスーパーラグビーに参加しているハイランダーズからオファーを受けそうだと現地で報じられた。南アフリカ代表戦前の記者会見では「あなたの将来について報道があるが、大会後の日本ラグビーへ何を残したいか」という質問も飛んだ。 ブラウン・アタックコーチは、「ラグビー選手は試合ごと、状況に合わせてプレーする。それはコーチも同じ」と明言を避けた。ブラウン・アタックコーチが去る場合は、新コーチの招へいが急務。指揮官との関係性と同時に職務能力の観点からも適切な人選が待たれる。