箱根駅伝Stories/箱根路を沸かせてきた青学大・太田蒼生「ゴールを笑顔で迎えて終わりたい」
新春の風物詩・第101回箱根駅伝に挑む出場全21チームの選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。新たな100年への第一歩を踏み出す大会に向かうそれぞれの歩みを紹介する。 箱根駅伝2025 青学大のエントリー選手名鑑をチェック!
1年時から箱根皆勤賞
11月の全日本大学駅伝。2年連続で7区に起用された青学大の太田蒼生(4年)が、またしても驚きの走りを見せた。 首位でタスキを受けた太田のすぐ後ろには、4秒差でスタートした國學院大のエース・平林清澄(4年)。前回、同区で区間賞を獲得した実力者で、状況的に平林が追いつき、並走する展開になると思われたが、その差は詰まるどころか、次第に広がっていった。 「すぐ後ろにいるのは分かっていたので、なるべく早い段階で引き離して諦めさせようと思いました。速いペースでもリズムよく入れたと思います」 まさに「駅伝男」の勝負勘と言うべきか。前もって決めていたわけではなく、前の区間で終盤に國學院大に詰められた状況を確認。走り出してから決めたプランだというから恐ろしいほどの冷静さ、そして大胆さがあった。 その差は一時、20秒近くまで拡大。その後は粘りを見せる平林に15km付近で追いつかれるも、約1km並走した後に再びスパート。再度4秒差をつけて、トップを死守する意地を見せた。 区間賞こそ、49分57秒をマークした駒大の篠原倖太朗(4年)に譲ったが、50分07秒は、平林と並んで区間2位タイ。歴代でも4位に入るタイムだった。「状態としては昨年よりも良くて、8割くらい。1分以上離したいと思っての走りだったので、勝ち切れなかったのは反省点ですが、ある程度力は発揮できたのかなと思います」とうなずく。 全日本大学駅伝後、原晋監督は「120%の力を出してくれました」と評価。付け加えて、「全日本よりも気温が低くなる箱根になると、もっと走りますよ」と言う。 例年、強大な選手層を誇る青学大にあって、1年時から箱根路は皆勤賞の太田。1年時は3区で東京国際大のエース・丹所健(現・Honda)との首位争いを制すると、2年目は4区に戦いの場を移し、3位から先頭を猛追。最後は駒大のエース格だった鈴木芽吹(現・トヨタ自動車)と中継所まで熾烈なデットヒートを演じた。 そして、前回だ。2度目の3区で、当時10000m日本人学生現役最速の佐藤圭汰(駒大、現3年)を相手に、22秒差を逆転しし、日本人初の1時間切りとなる59分47秒をマーク。3度の箱根駅伝で、ファンを大きく沸かせてきた。