【40代、50代・どうする?眼瞼下垂⑧】他人事じゃない!「眼瞼下垂」 手術の専門ドクターが答える! 疑問・質問 Q&A
Q6. 医師の診断では軽症の眼瞼下垂。手術はもっとひどくなってからでよいと言われましたが、本当ですか?
「一概に、症状が重くなってからがよいというわけではありません。一見軽度でも、『隠れ眼瞼下垂症』のように進行している場合もあるからです。 また、手術は組織の状態の良し悪しで難易度が変わります。加齢によっても皮膚は硬くなり、眼瞼挙筋の筋力の低下、皮膚の弛緩、組織の脂肪化などが進み、手術自体が若い人より難しくなります」
Q7. まぶたが垂れて目にかぶってきたと感じます。手術して、10年前くらいの印象にすることは可能ですか?
「印象や見た目を改善するという希望をかなえたい場合は、自費診療の範疇となります。保険診療はあくまで機能回復を主としたものだからです。 当院の場合は、眼瞼下垂手術を保険診療で行う際、眼瞼挙筋を前転(タッキング)し、開瞼幅や左右差の調整を行っていきます。結果として、ねらっていないにしてもその方の若い頃の状態に戻る場合もあります。 もし、意図的に若い頃の印象に戻したいのであれば、自費診療で目元のデザインをオーダーメイド的にアレンジしていくことになると思います」
Q8. 眼瞼下垂の手術は何回でもできますか?
「手術は、回数を重ねれば重ねるほど組織の瘢痕化(はんこんか)、繊維化が進み、手術難易度が上がってしまいます。さらに言えば、手術の術式によっても再手術の難易度は変わってきます。特にミュラー筋タッキングなど、ミュラー筋を操作するような手術や吊り上げ術だと、後からの修正や再手術は難しいと考えられます」
Q9. 手術後、眼が閉じにくくなったという話をネットで見かけますが、なぜですか?
「眼瞼下垂手術は目を開きやすくする手術ではありますが、その実、目を閉じにくくする手術ともいえます。したがって組織の取りすぎ、過矯正による後遺症で兎眼(とがん:まぶたを完全に閉じることができない状態)が出ることも予想できます。 特に手術後の早期には、傷口(手術創)が硬くなり、引きつって突っ張ってしまうため、睡眠中に薄目を開けている状態になるなど閉じにくさが出てくることも。数カ月で治ることも多いため、きちんとした手術であれば、最終的に困るような兎眼になることは少ないはず。当院が皮膚切除量を3mm以下に規定しているのは、兎眼を避けるためでもあります」