日本から19頭が参戦!カナダのリーディングジョッキー・木村和士騎手がデルマー競馬場のコース解説
ブリーダーズカップ攻略はこの男に任せろ。2021年から3年連続でカナダのリーディングジョッキーを獲得し、今夏のデルマー開催では、GⅠ勝ちを含む18勝を挙げた木村和士騎手(25)が、舞台となるデルマー競馬場のキーポイントを挙げた。 アメリカ西海岸、カリフォルニア州サンディエゴ近郊に位置するデルマー競馬場。〝where the turf meets the surf〟(芝と波が出会う場所)というキャッチフレーズで親しまれるように、太平洋の息吹が間近に感じられるロケーションだ。木村騎手は「海沿いで海風が流れてくるので、過ごしやすい気候です。いい場所ですよ」と目を細める。 アメリカの主流通り、ダートコースが芝コースの外側に設置される左回りのトラック。ダートコースの1周は1マイル(1609メートル)で、最終コーナーからゴール板までは約280メートルと非常にタイトなレイアウトが特徴だ。 このコース形態が肝心要だと木村騎手は明かす。「小回りでスピード決着が多くなり、前が止まりません。そこを意識すると、どうしても正攻法の立ち回りになりますね。サウジCを追い込んで勝ったセニョールバスカドールが8月のデルマーで4着だったように、後ろから行く馬には難しい競馬になります」。 また砂質も独特だと指摘する。「キックバックが強いですね。強いというか、キックバックを受けると痛いといった感じの砂質です。なので嫌がる馬もいます。そういう意味でも前につけたいです」と続けた。 ダートは先手必勝。では芝はどうだろうか。「芝はフェア。直線は長くありませんが、逃げても差しても、どの位置取りでも決まります。脚質の偏りはないかな」と木村騎手。「ただ内が荒れることもあるので、しっかり見極めることが大切です」と実感を込めた。 今年は過去最多となる19頭が日本から米国最高峰の祭典に挑む。「勝つ可能性は十分あります」と語る若き名手の前で、海を渡った日本馬はどんな走りを見せてくれるだろうか。(山口遥暉) ■木村 和士(きむら・かずし) 1999(平成11)年9月6日生まれ、25歳。北海道・浦河町出身。父は育成牧場「No.9ホーストレーニングメソド」を経営する忠之さん。2015年にJRA競馬学校騎手課程第34期生として入学。17年の退学後は単身でカナダに渡り腕を磨く。18年に104勝を挙げると、19年にはエクリプス賞最優秀見習い騎手賞を受賞。21年からは3年連続でカナダのリーディングジョッキーに輝いている。通算922勝、GⅠは5勝(10月25日段階)。趣味は野球観戦。