負債額判明、アニメ 『 新世紀エヴァンゲリオン 』 の制作で知られるガイナックスが破産開始決定
(株)ガイナックス(TDB企業コード:983144302、資本金1000万円、登記面=杉並区高円寺南4-7-3、代表神村靖宏氏)は、6月5日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。 破産管財人には村西大作弁護士(村西大作法律事務所、東京都中央区新富1-6-8、電話03-5541-6305)が選任されている。 当社は、1984年(昭和59年)12月に設立されたアニメーション制作会社で劇場用長編アニメーションや多くのテレビシリーズを送り出してきた。特に1988年リリースの『トップをねらえ!』で注目を集め、テレビアニメ『ふしぎの海のナディア』は、アニメ雑誌の表紙や巻頭特集を度々飾るなど最大の話題作となった。 その後、当社に所属していた庵野秀明氏が手がけ、テレビ東京系で放映された『新世紀エヴァンゲリオン』が社会現象を起こす空前の大ヒット。劇場版の公開やOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)のリリース、ゲームの発売とともに版権収入およびキャラクター商品の販売が増加し、2010年7月期には年収入高約35億4600万円を計上していた。 しかし、2012年頃から経営陣や運営幹部の放漫経営により経営が悪化。優秀なスタッフの退職が続き、スタジオとしてのアニメーション制作機能を失っていた。その後、株主の変更に伴い2019年10月に代表が交代していたが、就任直後に未成年への性加害で逮捕される事態となった。 こうした不祥事の混乱を収拾すべく、庵野氏が2006年5月に設立し、当社を退職して代表を務めた(株)カラー(TDB企業コード:989205728、東京都杉並区)の支援のもと、2020年2月に経営陣を刷新。新体制で正常化に向けた取り組みを進めたが、前体制時に積み上がっていた負債の解消に至らぬなか、今年5月に債権回収会社から債権請求訴訟の提訴を受けたことで、今後の事業継続が困難と判断。5月29日に自己破産を申請していた。 負債は債権者約71名に対し約3億8000万円。 なお、現在『新世紀エヴァンゲリオン』の著作権は(株)カラーが保有している。