あの混乱は何だったのか 斎藤知事の再選初議会は平穏発進、不信任の県議からは評価と懐疑
兵庫県の斎藤元彦知事の再選後、初となった県議会定例会が13日、閉会した。斎藤氏の疑惑告発問題を巡り、全会一致で不信任決議を可決した議会側からは県政運営への姿勢を問う質問などが相次いだが、斎藤氏は謙虚さを強調。議会との融和スタンスを貫き、波乱なく審議を終えた。ただ、議員からは「1期目と変わっていない」との声ももれる。県議会調査特別委員会(百条委員会)の報告書が提出される見通しの来年2月議会が、2期目の県政の行方を占う場となりそうだ。 「車の両輪である議会との信頼関係構築の新しいスタート。これからしっかり議会と県政を進めていく」。13日の本会議後、斎藤氏は報道陣の取材にこう語った。 この日は、交流サイト(SNS)での中傷被害抑止に向け、法整備を国に求める意見書が全会一致で可決。11月の知事選で候補者らへの中傷などが横行したことを踏まえ、議員側が提案したものだったが、斎藤氏は選挙制度の議論は国でなされるとの見解を示し「われわれは推移を見守りながら適正に対応したい」と述べるにとどめた。 今月3日の開会日に「謙虚な姿勢を胸に刻んで県政運営に臨むことを誓う」と所信表明した斎藤氏。質問に立った議員の半数ほどから、県職員らとの信頼関係構築など県政運営への姿勢についてただされ、「丁寧な対話と謙虚な姿勢を胸に刻む」などと淡々とした様子で答弁した。 匿名の告発者を特定し、処分した対応についても問われたが、「現時点でも適切だったと考えている」との従来の主張を繰り返し、大きな焦点とはならなかった。 こうした斎藤氏の議会対応について、ある県議は「長い目で見る必要があるが、少し変わってきたと思う」と評価。一方、別の県議は「選挙に勝った『民意』を強調するあまり、混乱を招いた原因が自分にあるという意識が感じられない」と懐疑的にみる。 重要局面となりそうなのは、来年の2月定例会だ。斎藤氏のパワハラ疑惑や告発への対応を調査している百条委は、今月25日に斎藤氏への最終の証人尋問を行い、2月定例会に調査結果をまとめた報告書を提出する予定となっている。 来年度当初予算案や、辞職した片山安孝氏の後任となる副知事人事などの重要議案も審議される見通しで、斎藤氏が議会側とどう対峙(たいじ)するのかが注目される。