阪神・井上、昇格即タイムリー 5番スタメン!岡田監督の抜てきに応えた
(セ・リーグ、DeNA3-4阪神、6回戦、阪神3勝2敗1分、10日、横浜)この瞬間のために、一心不乱にバットを振ってきた。今季初めてともした「H」ランプに左翼席を陣取った虎党が揺れる。岡田監督の起用に応える一打に井上は胸を張った。 「チームが勝つことが一番。大山さんがつないでくれて自分もヒットでつながったというのはチームにとっても大きい1点だったと思う」 昇格即「5番・左翼」で先発出場。クリーンアップを任された男の見せ場は1点を勝ち越した直後の六回1死一、二塁の好機だった。東のカットボールを振り抜いた。完璧に捉えた打球で三塁強襲の適時内野安打。今季初安打&打点をマークし、小さくうなずいた。 これまでの道のりは決して順風満帆だったわけではない。試行錯誤を繰り返しながらも、思うような結果はなかなか出なかった。「ストレートが打てない。全然、ダメっすわ」。弱音が漏れることもあった。ただ、どんなときでもその手に相棒を抱えて鳴尾浜の室内練習場に向かった。試合前、そして試合後も井上が奏でるバットの音が虎の穴に響いていた。 未来の大砲候補と期待されて飛び込んだプロの世界。気づけば高卒5年目を迎えていた。左肩の肉離れで戦列を離れることを余儀なくされた3月下旬。「早く(外で)打ちたいです」。もどかしさに、焦りもあった。それでも、鳴尾浜の室内練習場にはトレーナーと二人三脚で地道なリハビリに汗を流す若虎の姿が。いつものように、いつもの場所で懸命にバットを振っていた。努力は噓をつかない-。自らの手で証明した。 岡田監督も「いい感じで打ってたからな。ノーステップ打法がだいぶ自分の感覚ではタイミングとか取れるようになってきたんちゃうか」と進化を認める。その一打に発奮するように、井上に代わって途中出場したノイジーが決勝の適時打を放った。打線の起爆剤としての役割を見事に果たし、若虎は次を見据える。 「一試合一試合、自分が出たときはチームが線になるようにやっていきたい」
ようやく開幕した井上の2024年シーズン。虎に頼もしい大砲がやってきた。(原田遼太郎)