「生活保護世帯の子」も“大学”へ行けて「バイト」もできる… 近年充実した「公的サポート」の中身とは【行政書士解説】
2024年に新設された「進学・就職準備給付金」も
最後に、生活保護世帯の人が大学等に進学、就職する場合に支給を受けられる「進学・就職準備給付金」についても説明しておきましょう。 2024(令和6)年4月24日に、生活保護関連法令の一部が改正され創設された給付金です。高校卒業後に進学する子も、就職する子も、どちらも公平に支援する仕組みに改正されました。内容は以下の通りです。 【支給対象】 大学、短大、各種専門学校等に進学する人、そして就職して、最低限度の生活を維持するために必要な収入を得られる安定した職業に就く予定の人 【支給額】 ・生活保護受給の家族と同居して通学、通勤する場合⇒10万円 ・進学・就職のために、転居する場合⇒30万円 申請を行うことができるタイミングは、合格、または内定後に入学、入社等の手続きを開始してからですが、ケースワーカーへの相談は、できるだけ早めにしましょう。 進学先が大学や短大以外の各種学校の場合は、支給対象外の場合もあります。ケースワーカーに早めに相談して、確実に申請、受給できるように進めることが大切です。 勉学に励み、自らの努力で将来を切り拓いていくことは、日本では、だれにでも平等に当然にそこにある、自由・権利です。 ここまで紹介してきたように、今はとても充実した制度があります。多くの生活保護世帯のお子さんとご家族が、この制度を知り、活用してほしいと願っています。
三木 ひとみ
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