【毎日書評】徹底的にパクっていいし、「みんなのもの」だと考えると…いいアイデアは生まれる!
アイデアは徹底的にパクれ
東京大学教養学部の特任教授である著者は、「カンニングなんて絶対にダメでしょ」「人のアイデアをパクるなんて、恥ずかしいこと」と思い込んでいる東大生が大勢いると指摘しています。そこで授業のたびに、「カンニング推奨。パクり歓迎。授業では、まずそのルールを守ってください」と伝えているのだそう。 すると学生のマインドが切り替わり、のびのびと自由な発想ができるようになっていくというのです。 1つの例を紹介しましょう。 「『自然』という言葉から思い浮かぶ言葉をチームでたくさん書き出す」というお題を考えてみてください。 いろいろ思い浮かべるものの、30個ほど書き出したところで、ペンが止まってしまう……そんな状況が想像されますね。 そのとき隣にいるメンバーをカンニングしたら、「自然=たまたま、偶然」という意味で書き出していたらどうでしょう。 「ああ、『自然=ネイチャー』という意味だけでなく、その切り口があったな」 すると、あなたの出せる答えは広がるはずです。(23ページより) この例からわかるように、メンバーからどんどんもらっていい、与えていいということ。そうすれば、よいアイデアに出会える可能性が高まるというわけです。(22ページより)
「アイデアは自分のもの」という呪縛
「つまらないアイデアだと思われたらどうしよう」とか、「意見を出して、常識がないやつだと思われたらイヤだ」など、自分の考えやアイデアを出すことへの恐れを耳にすることがあるのではないでしょうか。また、まわりの目を気にしすぎて、話し合いの場で発言しない人もよく見かけます。 しかし、そこには「発言した人が責任をとらないといけない」という間違った思い込みがあるのだと著者はいいます。いいかえれば、「考えやアイデアは自分のものだ」という呪縛に縛られているということ。 そこで、次のように提案しているのです。 どうしても呪縛から抜けられない人は、こう考えてみてください。 「アイデアとは、自分のものではなく、みんなのものだ」 私たち1人ひとりが持っているのは、実はアイデアのかけらに過ぎません。 まずは、かけらを見える場に出し合うところから始めるべきなのです。アイデアとは最初から完璧な形で現れるのではなく、みんなで、「ああでもない、こうでもない」と話し合っているうちに、ようやく形になっていくものだからです。(24~25ページより) その一方、「せっかくよいアイデアを考えだしたのに、自分の手柄にならないのはおかしい」と考える人もいるかもしれません。しかしそれは、自分の才能を買いかぶりすぎているだけのことだと著者は断言しています。なぜならアイデアとは、ひとつのテーマを、同じ空間で、仲間と一緒に考えるからこそ生まれるものだから。 自分だけで考えたように感じてしまいがちではありますが、実はさまざまな外部環境要因が組み合わさり、そこから生まれてくるものだということです。また、「アイデアは自分で出さなくてもいいんだ」という気づきは、「よいアイデアを出さなければならない」というプレッシャーから逃れられるというメリットもあるようです。(24ページより)