旧車スーパーカブ修理☆ネジ山がナメても再生⇒再利用できることも!?
初代OHVエンジンのC100シリーズの中でも、比較的初期の第二世代エンジンをベースに旧車スーパーカブいじりを楽しんでます。60数年の歴史の中で、分解組み立てが繰り返し行われ、クランクシャフトエンドのネジ山がナメかけていたのがこのエンジンだった。クランクシャフトには特徴があって、後期モデルとは寸法的に違っているので、クランクシャフトのネジ山再生を内燃機加工のプロショップへ依頼することにした。 【画像】ネジ山再生の作業工程をギャラリーで見る(12枚) 文/Webikeプラス たぐちかつみ
クランクシャフトにクラッチを固定するネジ山が……
60数年間、分解組み立ての繰り返しと、締め付けトルクの強過ぎなどが影響したのか、普通ならナット側のネジ山が舐めてしまうところで何とかなるが、クランクシャフト側の雄ネジも完全になめてしまった。コンロッド幅が狭い第二世代の初期シリーズエンジンのため、せっかくなら分解ついでにベアリング交換などなども考えた。しかし、コンロッドにガタや首振りが無かったので、コンプリート状態でネジ山修理できないものか!井上ボーリングさんに問い合わせてみた。すると……
クランクシャフトCOMPのまま「ネジ山再生」してみたが……
クランクASSYのまま切り粉が入らないようにウエスとテープでぐるぐる巻きにしてから旋盤でクランクシャフトエンドのネジ作りを開始。クランク幅に影響が出ないようにクランクウェプ間にはスペーサーをセットしている。ネジ径をサイズダウンすることで新たなネジ山を切ることができた。
ロックナットに合わせて「専用工具」も製作依頼
本来よりもサイズダウンしたセルフロックの「Uナット」を用意して、井上ボーリングさんへ持込んだ。そのネジサイズに合せてクランクシャフトを加工して頂いた。新規セルフロックナットに合せたレンチが無いと分解組み立てが大変なので、ソケットの外径とロックナット外径がほぼ同一のソケットレンチを持ち込み、ロックナット専用サイズのレンチを加工製作して頂いた。
左右ケースの同時加工でOHVカムの軸芯を出す
そもそもカムジャーナル(支持部分)のクリアランスがギリギリ大き目に設定されているのが純正クランクケース。このカムジャーナルは、オイル交換をしっかりしないと偏摩耗が進んでしまい、メカノイズ=カムギヤの歯打音が気になるエンジンになってしまう。このクランクケースもそんな症状が出ていたので、カムジャーナルの摩耗拡大に対応したブッシュ圧入をお願いした。左右クランクケースを一体かつ同時に加工すれば、このようにクリアランスを大きくする必要は無いはずだ。クランクケースを一体にしてカムシャフトを差し込み指先で回すと、ジャーナル部分にはしっかりガタを感じる。