茂木健一郎「他人との関係というのは…」自分に自信がないと悩む相談者に脳科学の視点でアドバイス
脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。 TOKYO FMとJFN系列38局の音声配信プラットフォーム「AuDee(オーディー)」では、当番組のスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」を配信中です。 この番組では、リスナーの皆様から寄せられたお悩みに茂木が脳科学的視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。今回の配信では「自分の意見」に関する質問に答えました。
<リスナーからの相談>
私は自分の意見がなく、母の意見に合わせて過ごしてしまいます。ずっと母と一緒とは限らないので、自信を持って自分の意見が言えるようになるにはどうすればいいでしょうか?
<茂木の回答>
意見に合わせられるということは、そこまで変なことをお母様がおっしゃらないからだと思います。ただ、人生はいろいろなことがありますから、1人でいろんなことをやっていけるようになるのはいいことですよね。 他人との関係というのは、脳科学的に言うと「安全基地とチャレンジ」です。安全基地があるからこそチャレンジできるという図式で考えるといいです。お母様との関係は、相談者さんにとっては安全基地なのです。 すごく重要なポイントですけども、お母さんの意見を否定する必要はありません。親離れというと、世間では「親を否定しないといけないのではないか」「反抗期がいるのではないか」と思われがちですが、そのようなことはなくて、むしろお母様の意見は10回のうち9回まで、あとの1回は自分で考えてもよいのです。 あるいは、「お母さんは90%、残り10%は私の考えでいかせていただきます」といった、少しのアレンジでもいいです。相談者がいきなりお母様から独立して自分の意見を言わなければならないと、もし思っていらっしゃるならば、必ずしもそうではないということです。 そして、大事なことですけども、安全基地というのはお母様以外でもいいです。相談者さんのご意見に対して「それはそうだね」と共感してくれるような人がいるならば、そういった仲間も安全基地になってくれると思います。お母様以外に支えになってくれる人とか場所を見つけていくと安全基地が広がっていきますからね。 ただ、そのときもお母様という安全基地を否定する必要はないと思います。ポジティブな考え方というのは要するに「現状を受け入れる」ところから始まるのですね。まずは、「今の状況はそんなに悪くないよ」というところからスタートして、それを安全基地としてチャレンジしていただければなと思います。 (「茂木健一郎のポジティブ脳教室」配信より)