プロ野球キャンプの柵越え本数に意味があるの?
日本のプロ野球キャンプの風物詩が「柵越え何本」の派手な報道だ。ここまでのキャンプで、その柵越え本数で話題を集めたのは、楽天の新外国人、ジャフェット・アマダー内野手(29)と阪神のドラフト1位、高山俊外野手(22)の2人。135キロの巨漢で注目を集めているアマダーは、53スイング中17本の柵越えで、その規格外のパワーをアピール、怪我で出遅れて高知・安芸の2軍キャンプスタートとなっている高山も59スイング中、20本の柵越えをマーク、衝撃の“デビュー”としてスポーツメディアのヘッドラインを飾った。 柵越えの本数は、新外国人やルーキーの新戦力のパワーや、その凄さの象徴としてカウントされるものだが、時には本数だけでなく、その飛距離も話題となる。西武のおかわり君こと、中村剛也内野手(32)が宮崎の南郷キャンプで、民家の壁を直撃する160メートル弾をフリーで放ったことも、派手なトピックスとなった。だが、当然のごとく、柵超え本数に球団からの公式発表はない。現場にいる記者が数えるもので筆者も、スポーツ紙の駆け出し記者の頃、その柵越えのカウント係で、1本、1本、正の字をノートに書いて柵越え本数をチェックした。終わってから各社で数字を整理して“公式発表”とするのだが、その昔は、カウントもまだいい加減で、時折、端数を切り上げて数字を“捏造”したこともなかったわけではない。 だが、この柵越え本数は、イコール、選手のシーズンの活躍を占う数字なのか? 練習で気持ち良く柵越えを連発することに意味はあるのだろうか? キャンプを巡っている某スコアラーは、「100キロ程度のバッティングピッチャーのストレートをいくら柵越えしたところでパワーがあるという証明にはなるが、その本数は何も参考にならない。球団へ提出するスコアラーレポートに『何本超えました!』なんて書きません(笑い)。重要なのは、実戦で揺さぶられたときにどうなるのか。その苦手なコースや球種、長所短所」と、柵越え本数に意味なしとバッサリと切り捨てた。 しかし、選手の側は意外と、柵越えの本数を気にするもの。柵越えの本数に意味があるとハッキリと断言するのが、阪神の掛布雅之2軍監督(60)だ。