物価高対応、間に合わない (全国老人福祉施設協議会全国大会)
全国老人福祉施設協議会(大山知子会長)は11月21、22両日、滋賀県のびわ湖大津プリンスホテルで、全国老人福祉施設大会・研究会議を開いた。物価高騰と他産業での賃上げが進む中、大山会長は「3年に1回の報酬改定では間に合わない」と強調し、補正予算や来年度予算での対応を求めた。 総務省が発表した消費者物価指数を見ると、今年9月時点で食料は3年前と比べて19%増加。最低賃金も同様に13%増の1055円となっている。介護職員と全産業平均の月収差は6万9000円と広がっている。 そうした中、2024年度の介護報酬改定はプラス1・59%となった。しかし大会で大山会長は「10月改定の最低賃金も含め、公定価格の介護報酬では物価高騰に追いつかない状態だ」と強調した。 一方で、老施協は8~9月に会員の特別養護老人ホームを対象に食費に関する調査を実施。6月の1日当たりの食費は1人1754円で、2年前と比べ91円増加した。今年1年の給食関連収支は686万円の赤字という試算もあり、赤字額は2年前より181万円増えていた。 現場の栄養士からは「牛肉と豚肉は減らし鶏肉を増やしている」「賞味期限が近い食品を仕入れ、単価を安くしている」などの声が出た。利用者や家族からも「見た目が貧相」「副食を減らして豪華にしてほしい」との苦情もあったという。 大山会長は食費の基準費用額の引き上げも要望。老施協が関係省庁や国会議員に対してアプローチするとともに、今後も都道府県・市の老施協が地元の国会議員に要望する「サンドイッチ方式」で活動することを呼び掛けた。