小さな高級車の実力とは!? レクサスの新型SUV「LBX」を公道で試す!!
ニッポンで最も注目を集めているコンパクトカーこそ、トヨタの高級ブランド「レクサス」がぶっ放したLBX。つーわけで、開発責任者を取材した自動車研究家の山本シンヤ氏が特濃解説する!! 【写真】レクサス「LBX」の細部ほか * * * ■スニーカーから始まった小さな高級車の開発 山本 レクサスが〝小さな高級車〟と胸を張る新型コンパクトSUV「LBX」を公道試乗してきました! ――レクサスのラインナップの中で最も小さなモデルとして話題を集めていますね。 山本 これまでトヨタを含めた世界中の自動車メーカーが、小さな高級車に挑んできましたが、実を結んでいないのが現状です。そこに風穴をあけるべく、今回、レクサスが立ち上がりました。 ――小さな高級車プロジェクトはどんな形で始まったの? 山本 LBXの開発責任者であるレクサスインターナショナルの遠藤邦彦氏に話を聞きました。遠藤氏によると、レクサスのブランドホルダーである豊田章男氏(現トヨタ自動車会長)から「本物を知る人が週末に素の自分に戻り、Tシャツとスニーカーで乗れる高級車を造りたい。例えば、私が愛用しているスニーカーのようなクルマだね」と提案されたそうです。 ――プロジェクト開始のキーワードはスニーカーだったと。 山本 正確には〝ハイブランドのスニーカー〟ですね。しかし、遠藤氏は当初、この豊田氏の言葉の本質をとらえきれなかったそうです。そこで、当時、レクサスのプレジデントだった佐藤恒治氏(現トヨタ自動車社長)と一緒に、「とにかくそのスニーカーを買って履いてみよう」となったそうです。 ――実際にスニーカーを履いて何か見えた? 山本 遠藤氏は、「『スタイリッシュさ』『フィット感』『疲れない』『華美ではない上質さ』『劣化しにくい』など革靴にはない、いつまでも履いていたくなる魅力が理解できた」と語っていましたね。 ――開発は順調に進んだ? 山本 既存のコンポーネント(トヨタ・ヤリスクロス)の中で最善を尽くし、遠藤氏はその試作車を豊田氏に披露しましたが、「これしかできないなら、いらない」と悲しそうな声で言われたと。 ――あちゃー。 山本 トヨタの人間には、「与えられた素材で全力を尽くす」という、いわゆる〝トヨタイズム〟が染みついている。一方で、豊田氏は勇気を出してその殻を打ち破り、新たな一歩を踏み出してほしかったのではないかと。 ――遠藤氏はその殻をどう打ち破ったんスか? 山本 佐藤プレジデントに相談し、背中を押された遠藤氏は、「もう思い切ってやりたいことをやる!」と覚悟を決めて突き進んだそうです。 デザインを統括するサイモン・ハンフリーズ氏と話をすると、「プロポーションのいいクルマを造るためには、ちゃんとしたパッケージじゃないとダメ」と言われ、その実現のため、形式上はヤリスクロスと同じ骨格ですが、中身はほぼLBX専用に大改造! 遠藤氏は、「もはや、ヤリスクロスのかけらもない」と笑っていましたね。