「起立性調節障害」知らせたい 中学生の当事者が発信(横浜市)
自律神経の異常によって血圧や心拍数の調節ができず、立ちくらみやめまいなどを引き起こす「起立性調節障害」の当事者団体が昨年12月23日、横浜市庁舎で活動内容を発表した。当事者が自分の気持ちを話せる場としてオンラインコミュニティーを運営するほか、この障害を説明する簡易なリーフレットを作成中。来年度は神奈川県内の中学生20万人に配る予定だという。 代表理事で市内に住む中学3年の中山知佳穂さんは「これから発症する人のためにも、この障害の正しい情報を多くの人に知ってほしい」と話した。庁舎内の横浜市市民協働推進センターが主催した「ミズベサロン」に、中高生が運営する3団体の一つとして登場した。若者支援にあたる非営利団体や市会議員といった大人も参加し、それぞれの発表に耳を傾けた。 小学6年のときに発症し、学校に行きたくても行けない日々が続いたという中山さん。心の病でもないし、やる気がないわけでもない。自分で体をコントロールできないもどかしさに苦しんだ。 中学生の有病率は約10%。認知度は低く、中山さんも自分がこの障害だと分かっても受け入れるのに時間がかかった。同じように戸惑う人を減らそうと2023年、同センターの助言を受けて当事者団体を立ち上げ、居場所づくりを始めた。 昨年8月には情報発信を活動の中心とする「子どもの輪~起立性調節障害を当事者から広める会」のホームページも開設した 同センターは社会課題に気付いた市民の活動を下支えする公共施設で20年夏に開設。中山さんのような個人が協働できる人や団体と出会うのを手助けしたり、イベントの場を提供したりする。 その結果、中山さんの活動を知った県外の人も集まるなど、急速にこの障害のことが認知され、報道される機会も増えたという。同センターの担当者は「大人が何かしてあげようと先回りするのではなく、まずは当事者の声を聞くことが大切だ」と話している。