男性には特に褒めちぎられる”怖い人”…本性を調べる人が聞いた「評判」
「誰か」はルミンの足跡を追う
ルミンの語る話ともう一つの記憶、正しいのはどちらなのか。ルミンの主張と「誰か」が聞き出したエピソードは、平行線のように進む。 その一方で、いじめで自殺未遂を起こした沙世ちゃんの家族や兄は、ルミンを「いい子」だの「オレの嫁さんになってくれたら」だの、未だにルミンを絶賛する。 また前話で登場した元夫は、婚約者がいながらルミンの略奪婚で結婚することになり、挙句に離婚、慰謝料を持って東京へ行ったルミンとのことを振り返り、「誇りに思う」などと話す。 美しく、人を惹きつける力があり、男性からもよくもてるルミン。同性からの中傷は嫉妬によるものなのか。そしてルミンを追いかける「誰か」は誰なのか。 いくつもの謎を含みながら、話はルミンがエッセイストになるきっかけとなった東京の「文芸教室」まで進む。 「文芸教室」の飲み会で、ルミンがいかに見所があったかと語るのは、師匠の岡田先生だった。 岡田先生はルミンのファンばかりがやってくると言いながらも、「ルミンには人の心を動かす力がある」「評価はしてた」「泥臭くて野心があって」「ああいう奴がプロになれんのさ」とルミンをほめちぎる。 物書きの先生にも絶賛されるルミンの実力と魅力は、やはり本物なのだろうか。 それとも先生とはいえ、沙世の兄や元夫同様、ルミンの魅力に取り込まれてしまった一人の人間に過ぎないのか。 ◇沙世の兄、元夫、岡田先生。とにかく男性には褒めちぎられるルミンだが、同席のメンバーからも「ルミンさんの書くものはいつも胸を打つものだから」と絶賛されていた。 小説版著者の岡部えつさんは、ルミンのようなサイコパスの周囲の人間は、「ペラペラ出てくる“良い言葉”に魅了されて彼らの本質は見抜けない」と言うが、このあと意外な展開が待っていた。 ルミンの本性を見た、という人物が現れたのだ。 第10話に続く。
岡部 えつ/やまもと えり/FRaU マンガ部