忠臣蔵検定が復活!12月1日全国6か所で…若い世代に知ってほしい
時は元禄15年12月14日、大石内蔵助ら赤穂四十七士が吉良上野介邸に討ち入り、主君・浅野内匠頭の仇討ちを果たし、本懐を遂げた――。 【図表】6か所の会場 「忠臣蔵」として有名な元禄赤穂事件を研究し、顕彰する「中央義士会」(東京)が12月1日、京都や赤穂(兵庫県)、東京など全国6会場で「忠臣蔵検定」を開催する。ご当地検定ブームの低迷やコロナ禍の影響で中断した検定試験を衣替えして復活させた。同会関係者は「若い世代に忠臣蔵を知ってほしい」と熱望する。(西田大智)
忠臣蔵は事件後、文楽や歌舞伎、講談などの題材となり、舞台や寄席で人気を博したが、実際には脚色された部分も多い。 史実を知り、義士らの立場や心情を理解してもらおうと、同会は2003年に第1回の「忠臣蔵博士試験」を実施。博士の名の通り難関で、忠臣蔵博士の称号を授けられた成績優秀者は累計20人に満たない。05年からは博士試験よりも難易度を下げた「忠臣蔵通検定試験」もスタートさせた。形を変えたりしながら回を重ねてきたが、20年までに全て中断した。
23年に同会は一般社団法人を取得した。これに加え、検定試験の再開を望む声が多く寄せられ、今回復活させることにした。 検定は12月1日午後1時から、会場は義士・小野寺十内の妻の墓がある林昌院(京都市下京区)、泉岳寺(東京)、浅野家の菩提(ぼだい)寺・花岳寺(兵庫県赤穂市)など。四択と筆記の全40問で、100点満点のうち60点以上で合格者、75点以上で忠臣蔵講師、90点以上で忠臣蔵博士として認定する。受験料は中央義士会員は税込み3300円、非会員は同5500円など。 検定の申し込み締め切りは今月15日。詳細は会のホームページで。
ゆかりの地が京都会場に
京都には忠臣蔵ゆかりの地が多い。大石内蔵助は赤穂浅野家が改易され、赤穂城明け渡しの後、山科に 隠棲いんせい し、浅野家再興に奮闘した。内蔵助が隠棲した岩屋寺や、祭神としてまつる大石神社(いずれも山科区)などが知られる。 義士の小野寺の妻・丹の墓がある林昌院(下京区)は、検定の京都会場でもある。丹は夫の切腹後、自死したとされ、しのばれてきた。 河上正昌住職(68)は「お墓のお守りをずってしてきた。検定の受験者に参ってもらうことも考えたい」という。 中央義士会京都支部の能瀬英和支部長(66)は「忠臣蔵と京都の深い関係を、若い世代はほとんど知らない。日本の精神文化を受け継ぐためにも検定がいい機会になればありがたい」と語る。
墓所参拝、外国人が半数
いずれ、日本人が外国人から忠臣蔵を教わることになるかもしれない。 中央義士会が検定の復活を決めたのは、海外人気とは裏腹な、日本での“風化”ともいえる状況にある。 四十七士らが眠る泉岳寺では、会員が義士の墓所の案内役を買ってでているが、最近は参拝者の半分は外国人という。会の柿崎輝彦理事長(66)によると、海外の大学の日本文化の授業で忠臣蔵が取り上げられる一方、日本では学校でほとんど習わないという。 柿崎理事長は「武士道など日本の歴史や文化は海外で興味を持たれやすい。このままではいつか、海外から忠臣蔵が“逆輸入”されることになるかもしれない」と気をもんでいる。