里山の保全へ 笠名区住民らが学生らと対策に乗り出す 館山(千葉県)
館山市笠名地区で地域の豊かな里山の環境を保全しようと、地域住民らが対策に乗り出した。今年8月に都内の専門学生らが行った集落周辺の環境調査の報告を受けて実施するもので、6日には学生、地域住民らが共同で、イノシシが掘り返した道の補修や側溝の泥さらいなどを行った。 自然環境の調査や保全などについて学ぶ専門学校「東京環境工科専門学校」(東京・墨田区)の学生5人が、8月下旬に同地区で野生動物の生息環境を調べ、集落周辺の防御対策を考える「集落診断」を実施した。 調査の結果、同地区の山間部では耕作放棄地が増加しており、それに伴ってイノシシ被害が増加。住宅地へのイノシシの侵入は確認されなかったが、市街地を流れる蟹田川沿いは雑草が多く茂り、見通しが悪いことから山間部にある農地を入り口にイノシシの移動経路になることなどを指摘している。 そこで同地区では、学生らのアドバイスを参考にして、里山周辺の対策を講じることにした。地域住民の他に、集落診断に当たった学生5人も作業に参加し、生い茂った草木の刈り払いや、イノシシによって被害を受けた道路の補修、側溝の泥さらい、防護柵の修繕などを行った。 笠名区農家組合の渡辺薫組合長(73)は「作業を手伝ってくれた学生らには感謝。笠名の豊かな里山を守っていけるようにしていきたい」と話していた。 (押本裕也)