議会にヤジは必要なのか?
東京都議会での女性議員に対する「セクハラヤジ」問題をきっかけに、議会でのヤジそのものの是非について、議論が起きつつある。今回のヤジが「行き過ぎ」という点では多くの意見は一致している。ただ、「議会でのヤジそのものが下品で、すべてやめさせるべきだ」という意見がある一方、「ヤジは議会の華だ」「品位のあるヤジは議論の潤滑油になる」などという意見も根強い。果たして、議会にヤジは必要なのだろうか? 「国会はヤジがうるさい。ヤジをやめるというのを議論しませんか、総理」 こう切り出したのは、かつてお笑いでお茶の間を沸かせた東国原英夫・衆院議員(2013年4月9日当時)。衆議院予算委員会でのことだ。にぎやかさを好みそうな東国原氏ですら辟易するほど、国会のヤジはひどかったのだろう。「私は国会に入ってもう数か月なんですけれども、本当にヤジがうるさい」として、ヤジのあり方を問題提起したのだ。 しかし、安倍首相は「ヤジにもいろいろありまして、これは議場の華とも言われる場合もありますし、正直、私も若いころはけっこうヤジった方でございます」と答弁。ヤジを擁護する姿勢をみせた。確かに議会にヤジは付きもの。国会を始め、全国の都道府県議会のほか、市町村議会では、ヤジを飛ばす議員の姿を見るのは珍しくない。 国会でのヤジの歴史は古い。過去に話題になったヤジとしては、三木武吉・衆院議員が戦前に放ったものがある。東京新聞(2014年6月24日)の記事などによると、国会で法案の説明をした閣僚の話しぶりを陰気に感じたのか、一区切り付いた時に「次のお焼香の方、どうぞ」とやじり、静まり返っていた議場は爆笑に包まれたという。 また、かつての吉田茂首相が衆院本会議で演説中のこと。TBS『総力報道 THE NEWS』の後藤謙次さんのブログによると、野党議員から「それでよく総理が務まるなあ」というヤジが上がった。すると、与党議員がすかさず「お前でさえ代議士が務まるようなもんだ」と返し、一同大爆笑したそうだ。ヤジには、こうした機知に富んだものもある。