「死刑執行」記者や学生が“参観”していた時期も? “様子”伝える新聞記事も数多く残るが…「密行主義」になった理由とは
国が秘匿するのは「不都合な事実を隠す」ため?
日本では、世論調査で約8割が死刑制度に“賛成”と回答しているが、世界的には廃止の方向に進んでおり、こと先進国では、すでにほとんどの国が死刑制度を廃止している。歴代の法務大臣は「国民の支持」を理由に死刑存置の姿勢を示してきたが、実態を国民にほとんど知らせないまま賛否を問い、それを“世論”とすることには、危うさがあるようにも思える。 江村弁護士は、国が死刑執行に関する情報を秘匿する理由について「『不都合な事実は隠す』ということに尽きるのでは」と指摘する。 「大正12年(1923)12月から翌年初頭にかけて作成された『行刑制度調査答申書(壱)』には、死刑執行の方法に関して下記のように記載されています。 1.死刑ノ方法ハ絞殺ヲ可トス尚ホ現行執行方法ノ改善ヲ希望ス 2.死刑執行ノ方法及其ノ状況ハ秘密ニ付スルコト 3.勸善懲惡ノ爲受刑者ノ犯罪事實ノ要旨及執行ノ事實ハ適宜之ヲ公ニスルコトヲ希望ス 昔の言葉なので少しわかりづらいですが、上記からは、絞首刑が残虐であるがゆえ、死刑執行に関する情報を一般の市民に対して秘匿することとなったのではないかということが伺われます。この方針は、100年以上たった現在でも変わることなく引き継がれているのです」 個人的な賛否はさておき、重大な国の制度がほとんど秘匿されながら脈々と続いている“怖さ”には、国民ひとりひとりが気づくべきなのかもしれない。
弁護士JP編集部