メキシコは対米貿易で課題直面も、慎重な経済運営見込む=S&P
Sarah Morland [メキシコ市 12日 ロイター] - S&Pグローバル・レーティングスは12日、メキシコは向こう2年間にわたり慎重なマクロ経済運営を続ける見通しだが、米国との通商関係などで問題に直面する恐れがあるとの見方を示した。政府債務や財政赤字が悪化すれば現行「BBB」の格付けの引き下げがあり得る一方、シェインバウム新大統領の下で現実的な政治、経済運営が行われれば格上げの可能性もあるとした。 S&Pのソブリン格付け部門のマネジングディレクター、ジョイディープ・ムカージ氏はメキシコが対米関係で直面するリスクとして、トランプ次期政権で新たな関税が課せられる可能性や2026年に控える自由貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の見直しを挙げた。 ムカージ氏によると、トランプ氏の一期目に米国とメキシコの両国政府は通商関係で現実的なアプローチを採っていたと指摘。現在トランプ氏が掲げる関税案については米国内で強い反対もあり、同氏が交渉に応じる可能性は残っていると示唆した。 メキシコは今後も米市場への良好なアクセスを維持するというのが基本シナリオだが、中国企業がメキシコを対米輸出の足掛かりとして利用するのを防ごうと圧力が掛かり、「ルールが少し変わるかもしれない」と危惧も示した。 政府債務や財政赤字のほか、投資家心理や投資自体の悪化も格下げの要因になり得ると指摘。国営石油会社ペメックスや国営電力公社(CFE)に対する行き過ぎた支援に今後も目を光らせるとした。