歩行者優先なのに。信号機のない横断歩道で2台に1台が一時停止しないのはなぜ?
信号機のない横断歩道で、渡ろうとする歩行者がいるのにも関わらず、およそ2台に1台のクルマが一時停止をしないという(JAF調査、全国平均)。歩行者優先のはずでは?なぜクルマは一時停止しない?その原因と対策を探っていこう。 【グラフ】信号機のない横断歩道における車の一時停止率……昔より増えてはいるけど……!?
信号機のない横断歩道で一時停止するクルマは2台に1台!?
信号機のない横断歩道を渡ろうとしている歩行者。しかし、クルマやバイクは、速度を落とすことなく、ビュンッと走り抜けていく。「歩行者優先なのに……危ない!」と思った方もいれば、いつもそうなので当たり前だと感じている人もいるかもしれない。 信号機のない横断歩道では、歩行者や自転車がいないことが明らかでない限りは、横断歩道の直前で停止できる速度で進行しなければならない。歩行者がいるときは一時停止して道を譲る。それが法律で決められたルールだ。ドライバーなら、教習所で習ったはずである。 しかし、一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)の「信号機のない横断歩道における車の一時停止率(2023年)」に関する調査では、約半分のドライバーが守っていなかった。 この調査は2016年から行われており、2016年7.6%、2018年8.6%、2020年21.3%、2022年39.8%と、年を追うごとに改善されてはいる。ただし、それでもまだ半分のドライバーが交通ルールを堂々と違反している状態だ。また、前記の一時停止率は全国平均だが、都道府県によって大きな差があるという問題もある。 ワースト1は新潟県の23.2%、続いて佐賀県の26.2%、福井県の26.7%。5台に1台が止まるかどうかだ。 では、トップはどうだろうか。トップは長野県の84.4%、続いて石川県76.4%、栃木県74.8%。5台に4台は止まるという割合だ。名古屋走りが有名な愛知県も、このケースでは優秀である。 しかし、どうしてこれほどまで歩行者優先のルールは軽視されるのだろうか。
信号機のない横断歩道で一時停止をしない理由は?
JAFの実施したインターネットアンケート(2017年)では、信号機のない横断歩道で歩行者がいるのにも関わらず、一時停止しない、あるいはできない理由について、以下のような回答を得ている。 ・自車が停止しても対向車が停止せず危ないから。 ・後続から車が来ておらず、自車が通り過ぎれば歩行者は渡れると思うから。 ・横断歩道に歩行者がいても渡るかどうかわからないから。 ・一時停止した際に後続車から追突されそうになる(追突されたことがある)から。 このなかで最も高い割合なのが「自車が停止しても対向車が停止せず危ないから」だった。どちらにしても、理由はすべてドライバー視点のものといえそうだ。交通ルールで明確に歩行者優先が決められている以上、どの理由にしても、半分のドライバーが法律を無視する理由とは考えられない。