アグレッシブな新スタイルの日テレ・ベレーザ。若いチームは、これからどのように成長するのか?
もちろん「WM」時代の両ウィングは下がって守備をすることはないし、SBは時たまオーバーラップをすることはあっても、ボランチのポジションに入ったりはしない。しかし、ボールを握って攻撃している時のベレーザは、たしかに懐かしの「WMフォーメーション」だったのである。
しかし、前線に人数を懸けたアグレッシブなベレーザの攻撃に対して、新潟は割り切って中央を固めて耐え続けた。新潟は前半、シュートを1本も撃つことができなかったが、ベレーザの攻撃もシュート5本に抑えたのだ。
それでも、45+2分には中央で藤野が持ち込み、鈴木と土方が細かくつなぐ中央での崩しから右に出たボールを攻撃に上がっていた坂部が決めて、ベレーザは先制に成功する。
後半も立ち上がりは前半同様にベレーザの攻撃が続いた。だが、耐え抜いた新潟は次第にロングボールを駆使して攻撃の形を作りはじめる。
そうなると、ベレーザの方も3人のDFは中央に絞って、両サイドはWBがカバーする“普通の”スリーバックの形になった。
こうして迎えた80分。1点を追う新潟は3人を同時に交代すべく準備を終えていた。だが、そこでホイッスルが鳴って中盤でのFKとなり、このFKを後半途中から投入されたベテランの上尾野辺めぐみが蹴ると、CBの山本瑠香が頭でつなぎ、最後は同じくCBの三浦紗津紀が決めて新潟がどたんばで追いついた。
そこで、新潟ベンチは3人同時交代を中止して、3分後に2人を交代させた。
「どうしても1点を取りたい」という3人交代策から、「1対1のドローでもよし」という交代策に変えたのだ。
その意図は決して間違いではなかった。だが、ここはベレーザの「勝ちたい」という気持ちが上回ったようだ。
87分、ゴール前で木下が起点となってペナルティーエリア内の藤野につなぎ、左から右WBに入っていた宮川麻都が飛び込んできてファウルを誘ってPKを獲得。このPKを藤野が決めてベレーザが勝利して、3月の敗戦のリベンジを果たしたのである。