アグレッシブな新スタイルの日テレ・ベレーザ。若いチームは、これからどのように成長するのか?
そこで、松田監督はそうした最新の流れを取り入れて、ベレーザらしいテクニックにダイナミックスさも加えたチームを新たに作ろうとしているのだ。
新しいスタイルに慣れるまでには、当然、時間がかかる。しかも、今のベレーザには20歳前後の若い選手が多いのだ(新潟戦の先発11人の平均年齢はなんと21.73歳!)。なかなか結果が出ないのも、仕方のないところだ。
松田監督のベレーザはこのところスリーバックを採用している。そして、ウィングバック(WB)からはどんどんアーリークロスが入ってくる。「システム」というよりも、スタイルが変化してきているのだ。
新潟戦でも、前半はベレーザがボールを握り続けて、アグレッシブな攻撃を続けた。
とくに右サイドからはWBの山本柚月と右センターバック(CB)の坂部幸菜が強いボールを上げていく。
そして、センターフォワード(CF)には168センチと長身の鈴木陽がターゲットとして構えている。鈴木は昨年はなでしこリーグ1部のオルカ鴨川に所属して、初優勝に貢献した選手だ(昨年、僕は鴨川の試合を観戦に行き、そこで初めて鈴木を見たのだが、たしかにCFとして非常によい働きをしていたことが印象に残っている)。
「CB坂部のアーリークロス」のことを書いたが、前半のベレーザを見ていると坂部の動きは「スリーバックの右」というよりも、右サイドバック(SB)のオーバーラップのように見えた。
つまり、ボールを握る時間が長かった前半、ベレーザの両WBは最前線に位置を取り、ほとんど守備には関わっていなかったのだ。最終ラインは、ピッチの幅いっぱいを3人のDF(右から坂部、村松智子、松田紫野)でカバーしていた。
前線には右WBの山本と左WBの池上聖七が両サイドに張って、CFに鈴木。そして、やや下がり目に藤野あおばと土方麻椰。つまり、5人のFWが並んでいたのだ(ボランチが菅野奏音と木下桃香)。
なんと、これは1960年代までのサッカーの基本システムだった「WMフォーメーション」ではないか! FWの5人が「W」の文字を形作り。2人のハーフバック(HB)と3人のフルバック(FB)が「M」の文字を作るので「WM」と呼ばれていたのだ。今風に数字で言えば、「3-2-2-3」ということになる。