接着力の差、温度で1000倍以上に変化…東北大が「水中接着剤」開発
東北大学の阿部博弥准教授らは、温度で接着性を制御可能な水中接着剤を開発した。体温付近で性質が変化する温度応答性を付与。体温以上で強く接着し、体温以下だと容易に剥離する。温度によって接着力が1000倍以上の差で変化する接着剤を作った。医療デバイスなどと組み合わせて生体シグナルの計測機器に応用できる。 ムール貝の足にある接着たんぱく質に着目し、同じ化学構造を持つ水中接着性ハイドロゲルを設計。このゲルに温度応答性を付与し、脱着可能な接着剤を開発した。接着時は空気酸化による化学反応を利用し、分子が密に架橋した層と緩く架橋した層から構成される二面性を持ち合わせたことで操作性と強い接着性を実現した。水中接着性ハイドロゲルと固体基板の間の接着力は体温以上の温度で100キロパスカル以上を示し、体温以下では約0・1キロパスカルとなり簡単に剥がせる。温度によって接着力の差が1000倍以上となることを見いだした。 水中での生体電気信号を測定すると、市販のハイドロゲルはすぐに膨張して皮膚から剥がれた。電極が埋め込まれた水中接着性ハイドロゲルは人間の皮膚に体温以上の温度で貼り付き、10分間の連続測定ができた。室温まで冷やすとすぐに接着剤が生体表面から剥離することを確認した。