坂本花織のSP首位発進で、どうなる女子フィギュアの平昌五輪代表争い
坂本は、この日、4つのジャンプすべてを基礎点が1.1倍となる後半に集めるというロシア選手ばりの難易度の高いプログラムを見事に演じきった。高さのある3回転フリップ+3回転トゥループの連続ジャンプを決めると、3回転ループ、2回転アクセルを成功させ、フィニッシュと同時に得意の“ドヤ顔”で、右手拳を握り締めるようなガッツポーズを取った。 「びびらなかった。いつも通りにできたので、70点ちょっとくらいかなと思っていたが、それを遥かに超えたのでびっくりするしかなかった」と、試合後のコメントにも大物感を漂わせた 一方の宮原は「緊張が演技に出てしまった」と冒頭の3回転ルッツ+3回転トゥループで回転不足を取られた。今回のテクニカル、ジャッジパネル(審判団)のメンバーは、大会前から「厳格に採点する顔ぶれ」と見られていたため、どの程度、宮原の回転不足をチェックするかが、ひとつの焦点だったが、これは明らかな回転不足だった。それでも、後半は3回転ループ、2回転アクセル共に成功。スピン、ステップは、すべてレベル4で、映画「SAYURI」のオリエンタルで妖艶な曲にのった表現力は貫禄だった。 「いいスタートだったんじゃないか。次は、自信のあるフリーなので、自分の良さを思い切って出して、いい形で終われるように頑張りたい」と宮原も逆転Vに手ごたえ十分。 坂本と宮原の演技構成点を比べると、坂本の32.66点に対して宮原は35、83点と3.17点も上回っていた。いわゆる“下の点数”が高いのが宮原の武器。回転不足を修正できればフリーでの逆転は圏内なのだ。 では、優勝争いしている2人で2枠しかない五輪代表も決まりなのか。坂本が優勝した場合の2人目、宮原が逆転Vした場合の2人目はどうなるのだろうか。 前述の5項目の選考基準に照らし合わせてみると、(1)の全日本2位に入った選手が最有力になることは間違いない。続いて(2)のGPファイナルでは、宮原が5位、樋口が6位。(3)の世界ランクは現段階では、宮原が5位、本郷が9位、樋口が11位。(4)のシーズン世界ランクでは、樋口が5位、坂本が7位、宮原が9位である。(5)のISUのシーズンパーソナルベストで言えば、トップは樋口がロンバルディア杯で出した217.63点、次いで宮原のスケートアメリカでの214.03点、3位は、坂本が同じくスケートアメリカでマークした210.59点となる。