「燕は戻ってこない」「東京貧困女子。」…東京での“生きづらさ”描くドラマが話題 それでも上京する背景とは
東京で暮らす単身者は“満足度”が低い
2022年、ジブラルタ生命保険株式会社が20~69歳の未婚男女4700人(男性2350人、女性2350人)を対象に、「おひとりさまに関する調査2022」の結果を紹介しました。同調査の「現在の生活に満足している人の割合」では、おひとりさまの満足度について都道府県別にランキング形式で記載されており、東京で暮らす未婚の人の満足度は男性が6位、女性が20位(ジブラルタ生命調べ)で、東京で暮らす単身男性の満足度は高めであるものの、単身女性の満足度は意外にも低いという結果でした。 このことは、手取り額の少なさや家賃の高さによる経済苦も関係しているのでしょう。大手就活サイトで東京の事務職の求人を検索してみたところ、時給1200円前後スタートの求人が目立ちました。時給1200円で1日8時間、1カ月に20日勤務したと仮定すると、月収は19万2000円になります。単身の場合、手取りは15万円前後でしょう。前述のリキは病院の受付事務として働き、毎月の手取りが14万円前後でしたが、彼女の状況は珍しいものではないと思われます。 非正規雇用を選んだのは本人ですが、自己責任で片付けることはできないと考えられます。仕事には向き不向きがありますし、それぞれが事情を抱えています。また、非正規雇用の求人が中心の職業もあります。例えば、スクールカウンセラーや学芸員、図書館司書などは非正規雇用が多いのが現状です。 東京で正社員として就職したとしても一概に、安心できるものでもありません。総務省が1959年から5年ごとに実施している「全国家計構造調査」の2019年の調査結果では、関東の平均年収が603万8000円と日本の平均年収(例年450万円前後)よりも少々高いものの、関東圏には年収が高い大手企業や外資系企業が多く所在するため、一部の企業に在籍する正社員が平均年収を引き上げているという見方もできます。大手就職サイトで正社員の求人を検索してみると、デスクワーカーについては400万円に満たない年収で求人を出している企業も目立ちますし、企業の規模を問わず経験が少ない若手の年収はそう高くないことが多いです。大学生の半数以上が奨学金制度を使っている昨今、高い家賃を払いながら東京で一人で暮らすのは大変なことだと思います。 東京には、ショッピングスポットや美術館、コンサートホール、インスタ映えする飲食店なども多く点在します。しかし、それらはある程度、経済的に余裕がないと触れることのできないものでもあったりします。