イスラム教「スンニ派」と「シーア派」違いは何?
イランの国教の12イマーム派では、歴史上12番目のイマームは死んだのではなく「隠れた」のであって、終末の日に再臨すると考えられています。そして、それまでの期間は、教義に詳しいイスラム法学者が、その役割を代行することになっているのです。 イランではイスラム法学者の最高指導者が法律や政府の政策をチェックして、イスラムの教えに適うかを判断していますが、これはスンニ派よりイスラム法学者の権威が高いシーア派ならではのシステムです。 こうした考え方から、シーア派では歴代イマームの霊廟などがあります。しかし、スンニ派はこれが「偶像崇拝」にあたると考えます。そのため、お互いに相手のことが認められません。 スンニ派のリーダーであるサウジアラビアと、シーア派の中心地イランは、シリア対策をはじめ、さまざまな場面で対立していますが、その大きな背景には、この教義の違いがあるのです。
------------------------------------------------------ ■六辻彰二(むつじ・しょうじ) 国際政治学者。博士(国際関係)。アフリカをメインフィールドに、幅広く国際政治を分析。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、東京女子大学などで教鞭をとる。著書に『世界の独裁者』(幻冬社)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、『対立からわかる! 最新世界情勢』(成美堂出版)。その他、論文多数。Yahoo! ニュース個人オーサー。個人ウェブサイト