【税理士が教える】「タンス預金」や「こっそり贈与」が、必ず税務署にバレる驚きの理由
親が相続対策しないまま亡くなると、残された家族や子どもは、膨大な手続きに苦労したり、争族に巻き込まれたり、相続税が払えなかったり…と、多大な迷惑をこうむります。本連載では、知識のない親御さんでも、ステップ式で5日で一通りの相続対策ができる『子どもに絶対、迷惑をかけたくない人のための たった5日で相続対策』(ダイヤモンド社刊)を出版した税理士の板倉京さんが、最低限やっておくべき相続対策のポイントを本書から抜粋して紹介していきます。 ● 本当は超コワイ「適当な贈与」や「タンス預金」 「子や孫への贈与やタンス預金なんて申告しなくても税務署にばれないよね」。 こういった質問を受けることがあります。これって「脱税」の相談なんですが、皆さん、悪気がなさそうです。贈与もタンス預金も家族内でのお金の話なので、言わなきゃわからないだろうと思うのかもしれません。 ● 税務署を侮ってはいけない! でも、税務署の調査能力を侮ってはいけません。国は、全国の国税局・税務署の情報を一元管理するKSKシステム(国税総合管理システム)を駆使して、国民の稼ぎや財産を把握しています。 「私の収入や財産を国が把握なんてできるの?」と思うかもしれませんが、給与は源泉徴収票、個人事業収入は確定申告から把握できますし、銀行や証券会社との取引や生命保険会社からの保険金は支払調書から、不動産の売買は登記情報からetc.……、国はあらゆる情報を把握できる立場にあるのです。 そして、こういった様々な情報をもとに「高額な給料をもらっていた人」や「事業や資産運用等で稼いでいた人」、「相続で財産をもらった人」など、多くの財産を持っているだろう人を把握しているのです。 ● 税務調査が入れば、9割弱で申告漏れ等が発見! 国は、戸籍システムで亡くなった人の情報も把握できます。 相続が起きたことがわかれば「この人なら●円くらいの相続財産があるだろう」と想定し、相続税の申告が必要そうな人には「相続税についてのお尋ね」という書類を送り付け、相続税の申告を忘れないように、と釘をさします。 そして、申告された額が税務署の想定よりも低ければ、「どこかに財産を隠しているのではないか」、「生前に多額の贈与などをしているのではないか」と調べ(税務調査)始めるのです。 実際、税務調査が入るとかなりの確率で財産の申告漏れが見つかります。相続税の調査結果については毎年国税庁が発表していますが、令和4年度は、調査件数8196件のうち、9割弱の7036件で申告漏れ等が発見されています。 調査の主な対象は現金・預金・有価証券といった金融資産。そして、相続税の税務調査では、贈与税の申告漏れも厳しく調査されます。 *本記事は、板倉京著『子どもに絶対、迷惑をかけたくない人のための たった5日で相続対策』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集して作成しています。
板倉 京