日銀に代わる国債保有者、銀行以外に機関投資家も候補-専門家
(ブルームバーグ): 日本経済研究センターの左三川郁子・金融研究室長は、国債の買い入れを減額する日本銀行に代わる保有者として、銀行の他に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などの機関投資家も候補になるとの認識を示した。ブルームバーグとの11日のインタビューで述べた。
財務省の「国の債務管理に関する研究会」で委員を務める左三川氏は、国債の保有比率がかつての約4割から1割程度まで低下した銀行について、今後比率が上昇する余地がある点で「銀行への期待は大きい」と指摘。一方、銀行には自己資本に占める金利リスク量の割合を一定水準以下に抑える制約などもあるため、保有比率がどの水準まで戻るかは見通せないとも語った。
その上で、銀行の保有比率が約4割まで戻らないとすれば、「その他の部門でシェアするしかない」とし、GPIFなどの年金基金も「一つの候補者になり得る」とした。
国債管理政策を巡っては、買い入れを減らす日銀に代わる安定的な投資家の確保が課題となる。日銀統計によると、3月末の国庫短期証券を除く国債・財投債の保有比率は日銀が53.25%と過半を占めた。同研究会は6月、日銀の減額方針を踏まえ、銀行が買いやすいように国債の発行年限を短期化させることなどを盛り込んだ提言案を公表したが、左三川氏は保有者の多様化の必要性を改めて強調した格好だ。
5日に発表されたGPIFのデータをブルームバーグが分析したところ、GPIFの国債保有額は2023年度に前年度比25%増の50兆3000億円に達し、国債の重要な買い手として浮上していることが分かった。
左三川氏は、機関投資家が安定的に保有できるような発行を考えつつ、海外勢へのプロモーションや個人投資家向けに商品の魅力を高める方策も必要と話した。財務省の研究会では、学校や病院、マンションの管理組合などによる運用先として国債を選んでもらえないかという議論もあったと明かした。