開館前に“ブリロの箱“で注目の美術館 放浪の天才画家・山下清の作品展示へ 色鮮やかで独創的な“ちぎり絵”のイメージが強い山下が描く緻密なペン画の“鳥取砂丘” 購入価格は720万円余り 鳥取県
鳥取県立美術館 三浦努 学芸担当参事 「(砂丘の)良さというか空間の広々とした感じが魅力だと思う。これはあるとしたら鳥取しかないだろうという作品」 美術品の収蔵に関わる学芸員もこう太鼓判を押します。三浦さんによると、この作品が描かれているのは「和紙」。詳細は分かっていませんが鳥取には「因州和紙」もあり、地元で作られた可能性もあるといいます。予定通り、取得することができれば、紙の専門家などと共に調査を進めていきたいと意気込みます。 作品の魅力だけでなく、三浦さんはさまざまな相乗効果も期待します。 鳥取県立美術館 三浦努 学芸担当参事 「例えば観光客の方にまずは本当に、リアルに砂丘に行ってもらい、その後に美術館に来てアートで山下清の作品で“砂丘”を見てもらう」 現実での体験とアートを通した体験を重ねることで、新たな発見につながるのではないかといいます。 もう一つが鳥取県の取り組む障害者アートの振興政策。毎年、開催している障害者の芸術・文化作品展「あいサポート・アートとっとり」や障害者の作品を集めた作品展の企画に山下清の作品が並ぶことは、障害者の才能や感性を評価していく中で意義があると強調します。 気になる「鳥取砂丘」の購入価格は726万円。三浦さんは「山下清の大判のペン画はあまり市場に出ないため、この機会に取得したい」と話します。 「ブリロの箱」の一件では、賛否両論の評価を受けた鳥取県立美術館。新たなコレクションの取得にかかる予算案は、11月28日に始まる鳥取県議会に提出されるということです。