【日本S】ついに王手のDeNA・三浦監督 不変コメントがもたらす〝リフレイン効果〟
日本シリーズ第5戦は10月31日にみずほペイペイドームで行われ、DeNAがパ・リーグ王者のソフトバンクに7―0で零封勝ち。怒とうの3連勝で1998年以来、26年ぶりの日本一に王手をかけた。セ3位からの下克上へは三浦大輔監督(50)の不動心と不変コメントも追い風を吹かせている。 こうも発言がブレないのは、名将の証明なのかもしれない。大方の下馬評を覆し、ソフトバンクに先んじて王手をかけたにもかかわらず、三浦監督のコメントは不変だった。 この日の試合前、敵地2連勝でソフトバンクの印象も変わったのではないかと聞くと「変わることはないです。堅いチームで強いチーム」と戦前と同じことを強調。「いつも言ってるように、必死になってやらないと勝てない。一戦一戦(力を)出し切って勝負できるかどうか。温存するとかはできない」とやはりいつもの言葉を繰り返した。 王手をかけた試合後に感想を聞いても、質問をぶつけたこちらの「想像通りです」(三浦監督)。「毎試合毎試合、出し切るってことで、そこは変えずにね、また準備していくだけ」と改めて言い切った。 CSでも同様で番長から返ってきたのは同じ答え。「王手」という言葉すら口にせず、判で押したように「今までと一緒です。常に一戦一戦です」と言って質問した記者にうなずきかけていた。 ひと昔前の気難しい名将なら「何度も同じことを言わすな」と言いそうなところだが、三浦監督はあくまで明るく前向きに同じ発言を繰り返す。そうした指揮官の態度がチームに好影響を与えているのは間違いない。番長の意図を最も的確に捉えているのは、CSでMVPを受賞した〝代役捕手〟の戸柱だろう。 日本シリーズで2勝目を挙げた第4戦では、投手陣を好リードしてソフトバンク打線を零封。「今はいい流れできているので、明日(第5戦)の入りが大事です」と言いながら、無失点で抑えた結果については「たぶんたまたまだと思います」と浮ついた様子はまったくなかった。むしろ「(鷹打線は)恐ろしいので、今日帰って対策を練って、また明日いきたいと思います」と三浦監督の姿勢を習ったかのように自らを引き締めている。 この3連勝は、そんな戸柱に代表される〝番長リフレイン効果〟のたまものだろう。2日の第6戦からは再び本拠地・横浜スタジアムで行われる。このままあと1勝し、下克上をコンプリートできるか。
赤坂英一