全国で「給食無償化」の自治体が増加中!?うちの子の学校はお弁当ですが、かなり損しているのでしょうか…?
近年、日本全国で「学校給食の無償化」を実施する自治体が増加しています。この動きは、子育て世帯の経済的負担を軽減し、教育の機会均等を図る取り組みとして始まったものです。 しかし、まだ給食が実施されていない、あるいは有償の給食を提供している学校に通う子どもを持つ保護者の中には「損をしているのではないか」と不安に感じる方もいるでしょう。この記事では、給食無償化の現状と背景、お弁当との比較などについてまとめました。 ▼「3人目3万円」に思わぬ落とし穴! 2024年12月に前倒しになった「児童手当拡充」の注意点
給食無償化の現状とは
給食無償化を実施している自治体は増加傾向です。文部科学省が実施した「学校給食に関する実態調査」によると、2023年度時点で、全国の自治体の約3割にあたる547の自治体が給食費の無償化を実施していました。この数字は前回調査年の2017年度の76自治体と比較して約7倍に増加しており、今後もこの傾向は続くと予想されています。 給食無償化が進められている背景には、以下のような要因があります。 ・子育て世帯の経済的負担軽減 ・少子化対策 ・教育の機会均等の実現 ・地域の活性化と人口流入の促進 近年の物価上昇や新型コロナ感染症の影響により、多くの家庭が経済的な困難にある中で、給食費の無償化は大きな支援になっているといえるでしょう。
給食とお弁当のコストは?
「学校給食に関する実態調査」によれば、給食費の月額平均は小学校が4688円、中学校では5367円です。それぞれ月に20日登校する場合、1食当たりの金額は約234円、約268円となります。 お弁当の全国平均費用は、株式会社ニチレイフーズが実施した「全国お弁当事情に関する調査2024」のデータによると、1食当たり222.3円となっていました。以上のデータで見る限り、1食当たりの金額は、給食とお弁当ではあまり差がないといえるでしょう。
お弁当は本当に損?
お弁当と給食のコストに大きな差はありません。しかし、無償化されている市町村と比較すると、お弁当の費用分は損をしているともいえるでしょう。 しかし、コスト面以外を含めて考えた場合、お弁当が損をしているとは言い切れない面があるのです。 ■お弁当のメリットとデメリット お弁当は、保護者が子どもの好みや必要な栄養素を考慮して調整でき、子どもに食物アレルギーがある場合でも安心して食べられます。 一方で、お弁当を毎日準備するには、食材の購入費が必要であるのに加え、毎日メニューを考えなければならないなど、時間と労力がかかります。さらに、とくに夏場などは食中毒のリスクがあるため、衛生管理にも注意しなければなりません。 ■給食のメリットとデメリット 給食では基本的に栄養士が考えた、栄養バランスの取れた食事が提供されます。それ以外にも、家庭では提供しにくい食材や料理を経験でき、保護者にとっては毎日のお弁当作りの手間が省ける点もメリットでしょう。 しかし、無償化されていない場合は毎月の給食費が必要です。さらに、集団に対して提供される給食は個別対応が難しく、好き嫌いや食物アレルギー、食事量の調節への対応が限定されます。また、提供されるメニューが決まっているため、選択の自由がありません。
費用の負担はあるが、お弁当ならではのメリットもある
給食無償化の動きが全国で広がっているのは事実です。しかし、お弁当が「損をしている」とは一概にいえません。お弁当には給食にはない独自の価値があり、家庭の状況や子どもの好みやアレルギーに応じた選択が可能であるためです。 給食の無償化は魅力的といえますが、多様な食育の在り方を考えていく必要があるでしょう。 出典 文部科学省 「こども未来戦略方針」を踏まえた学校給食に関する実態調査の結果について(6、7ページ) 株式会社ニチレイフーズ <全国お弁当事情に関する調査2024>(6ページ) 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部