【福原直英の福を呼ぶ馬】元気な弟キャラだった藤岡康太騎手…ご冥福をお祈りします
藤岡康太騎手のご冥福を心よりお祈り申し上げます。14日の日曜「BSスーパーKEIBA」出演の際に彼のことを振り返る時間があり、真っ先に浮かんだのは元気な弟キャラというべき姿でした。 10年ほど前、滋賀の栗東トレセンから草津市内まで彼の車に同乗した(康太騎手が「送りますよ」と声をかけてくれた)ことがあります。車に乗り込みエンジンをかけると、ゴキゲンな曲が、それはそれは結構なボリュームで流れ始めました。「いつもこんな感じでドライブしているの?」。声を張り気味にして尋ねると「ハイ!」。あのクリクリした目で答えていた顔を思い出すのです。 それから時は流れ、去年のナミュールでの勝利後に明かした、生まれたばかりのお子さんをお風呂に入れるエピソード。受け答えを見ながら、ああ、こうやって人生のフェーズは移り変わっていくんだな、と。自身の若さがもつ勢いのままに進むことのできる時期から、家族を持ち子供の成長を見守り、さらに年齢を重ねて人間として騎手として円熟味を増していく…。そんな日々がいわば当たり前のように続いていくと思っていた矢先の事故。葬儀であいさつに立った藤岡健一調教師の姿には、息子に先立たれた父の心中をどんなに察しても、言葉が見つかりませんでした。 競馬は続いていく。今朝も東西のトレセンで、そしてさまざまな施設で忙しく動く競馬人の姿があります。どんな場面でもみなさんどうぞご安全に。 先週は関東で勝浦正樹騎手が引退の日を迎えました。「いまは幸せな気持ちです」。表情はとても晴れ晴れしていてこの先の人生に幸あれと願わずにいられません。 競馬は、続いていきます。(フリーアナウンサー)